判旨
機械の売買契約等において、試運転による合格が条件とされている場合、不合格の判断に当事者双方が異議なく合意したときは、当該不合格をもって債務不履行(履行不能等)が確定する。また、債権者が目的物の搬出を拒んだとしても、それが正当な理由に基づくものであれば、債務者の履行不能を債権者の責に帰することはできない。
問題の所在(論点)
機械の試運転による「合格」の成否および、被上告人が機械の搬出を拒んだことが上告人の修理不能(履行不能)について被上告人の責に帰すべき事由にあたるか。
規範
契約上の「合格」の意義については、当事者の合理的な意思解釈に基づき判断すべきである。また、債務の履行が不能となった原因について、債権者の行為が介在していたとしても、その行為が契約の経緯や目的等に照らして正当な事由に基づく場合には、帰責事由は債務者にあり、債権者の責に帰すべき事由による履行不能(民法415条、413条参照)とはならない。
重要事実
上告人(売主・請負人側)と被上告人(買主・注文者側)の間で、機械の納入がなされたが、その性能について試運転が行われた。試運転の結果、当該機械は不合格と判定され、この判定については上告人を含む立会人一同が異議なく認めた。その後、被上告人側は当該機械の搬出を拒んだが、これには一定の諸事情(具体的な詳細は判決文からは不明)が存在した。
あてはめ
まず、本件における「合格」の意義は試運転合格を指すと解するのが相当である。事実、試運転の結果に基づき、上告人自らを含め異議なく不合格と判断されている以上、契約上の履行は未了であり、不完全な状態にある。次に、被上告人が機械の搬出を拒否した点については、原審が認定した諸事情(詳細は判決文からは不明)に照らせば、正当な理由に基づく拒絶といえる。したがって、機械が修理不能な状態にあるとしても、それを被上告人の責に帰することはできず、上告人の債務不履行責任を免れさせるものではない。
結論
上告人の修理不能(履行不能)について被上告人の責に帰せしめることはできず、上告人の上告を棄却する。
実務上の射程
契約上の条件(合格判定等)が未成就である場合の債務不履行の帰責事由を判断する際の基準となる。特に、目的物の引き取り拒否や搬出拒絶が「受領遅滞」や「債権者の責に帰すべき事由」となるか否かは、単なる物理的拒絶の事実だけでなく、その背後にある諸事情を考慮して正当性を判断すべきという実務指針を示している。
事件番号: 昭和33(オ)897 / 裁判年月日: 昭和36年5月25日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】種類債務の給付において、目的物が特定・引渡しされたとしても、その給付が債務の本旨に従わない不完全なものである場合には、買主は完全な給付を催告し、契約解除や損害賠償を請求し得る。 第1 事案の概要:売主(被上告人)は、買主(上告人)に対し、限定的種類債務に基づき砂利採取機を提供し、特定・引渡しが完了…