判旨
資材を請負人持ちとする請負契約において、統制法令により資材入手が法律上制限されている場合であっても、請負人が「需要者」として調達する道が残されている限り、履行不能や公序良俗・強行法規違反により契約が無効となることはない。
問題の所在(論点)
資材の調達が統制法令により制限されている状況下で、請負人が資材を負担する請負契約を締結した場合、当該契約は履行不能または違法を理由として無効(公序良俗違反等)となるか。特に、請負人が法令上の「需要者」として資材調達の余地を有するかという点が問題となる。
規範
契約が履行不能または違法行為を内容とするものとして無効となるのは、客観的・絶対的にその履行が不可能、あるいは法令によりその内容の実現が全面的に禁止されている場合に限られる。統制法令下であっても、法令上の手続(割当申請等)を通じて目的物を調達し得る地位が認められるならば、契約は有効に成立する。
重要事実
上告人(請負人)と相手方との間で請負契約が締結されたが、当該契約では工事に必要な資材は請負人が用意することとされていた。当時、指定生産資材割当規則等の統制法令が存在しており、上告人は当該資材の入手が法律上許されていなかったため、本件請負契約は履行不能または違法行為を内容とするものとして無効であると主張した。
あてはめ
本件における統制法令を検討しても、上告人において資材を調達することが法令上不可能であったとは認められない。本件請負契約のように資材を請負人持ちとする場合、請負人は指定生産資材割当規則にいう「需要者」に該当すると解するのが相当である。したがって、請負人は適法に資材を調達する地位にあり、契約内容の実現は可能であるといえる。
結論
本件請負契約が履行不能または違法行為を内容とする無効なものであるとはいえず、契約は有効である。
実務上の射程
統制経済下の古い判例ではあるが、現代においても行政上の規制や許認可が必要な行為を内容とする契約の有効性を判断する際の参考となる。契約当事者が規制上の申請適格(需要者性)を有しており、適法な履行の余地が残されている限り、契約の私法上の効力は否定されないという枠組みを示している。
事件番号: 昭和31(オ)682 / 裁判年月日: 昭和36年8月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】請負契約において、注文者が請負人の技術不足等を知りながら技術援助の約束を反故にし、あえて履行遅延を放置して多額の違約金を請求することは、信義誠実の原則に反し許されない。 第1 事案の概要:上告人(注文者)は、高度な技術を要する電解槽の製作を、技術不足の被上告人(請負人)らに発注した。工事が難航する…