判旨
選挙の無効が主張される場合において、選挙が具体的規定に違反しないことはもちろん、選挙人の自由な意思表明を確保し公明かつ適正に行われるべきという選挙法の精神に反しない限り、当該選挙は有効である。
問題の所在(論点)
選挙の管理執行において具体的な法令規定への違反が認められない場合であっても、公職選挙法の基本精神(公明適正な選挙の確保)に反することを理由に選挙を無効とすることができるか、またその判断基準が問題となる。
規範
選挙の効力については、選挙の管理執行に関する具体的な法令規定に違反しないことはもとより、選挙人の自由に表明する意思によって公明かつ適正に行われるべきとする公職選挙法の基本精神に反しないかという観点から判断すべきである。
重要事実
上告人は、本件選挙の手続等において選挙法の精神に反する事由があるとして、選挙無効を求めて上告した。しかし、原審(判決文からは具体的な事実関係は不明)は、本件選挙の管理執行について具体的な規定違反はなく、かつ公明適正な選挙を求める法の精神にも反しないと判断していた。
あてはめ
本件においては、選挙の管理執行に関する具体的な規定に反する事実は認められない。また、原判決が認定した事実関係に照らせば、選挙人の自由な意思表明が妨げられたり、公明かつ適正な選挙を害したりするような、公職選挙法の精神に反する事態も認められない。したがって、本件選挙が違法であるとの上告人の主張は採用できない。
結論
本件選挙は具体的規定に反せず、かつ選挙法の基本精神にも反しないため、有効である。
実務上の射程
選挙無効訴訟において、具体的規定違反(「規定の違反」)のみならず、その前提となる「選挙の自由公正」という基本精神に照らした概括的な適法性判断の枠組みを示したものとして活用できる。ただし、本判決自体は具体的な事実への言及が極めて乏しいため、抽象的な判断枠組みの引用に留めるのが適切である。
事件番号: 昭和31(オ)729 / 裁判年月日: 昭和31年11月27日 / 結論: 棄却
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事件番号: 昭和31(オ)268 / 裁判年月日: 昭和31年10月5日 / 結論: 棄却
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事件番号: 昭和31(オ)687 / 裁判年月日: 昭和31年10月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】選挙会における決定の効力は、開票の際に存在した事実上の投票状況を基礎として判断されるべきであり、事実認定に疑義がある場合には、証拠により確定された事実に従う。 第1 事案の概要:本件では、選挙会における決定の効力が争われた。具体的には、係争の投票4票が開票の際に存在したか否かが争点となり、上告人は…
事件番号: 昭和35(オ)500 / 裁判年月日: 昭和35年9月13日 / 結論: 棄却
県議会議員選挙と前後して行なわれた市議会議員選挙の候補者にC寛一がある場合に、県議会議員選挙におけるC寛一を意味する投票は候補者C寛二に対する有効投票とは認められない。