判旨
賃貸借契約の存続中に、賃貸人と転借人との間で同一の目的物について直接賃貸借契約を成立させることは、特段の事情がある場合には経験則に反せず認められる。
問題の所在(論点)
賃貸借関係および転貸借関係が存続している状況下で、賃貸人と転借人の間に、同一物件を目的とする直接の賃貸借契約を別途成立させることは認められるか。
規範
賃貸人、賃借人、転借人の三者関係が存在する場合であっても、特段の事実関係が認められるときは、当初の賃貸借契約や転用(転貸)関係とは別に、賃貸人と転借人の間に直接的な賃貸借契約が成立し得る。
重要事実
上告人(賃貸人)はD村(賃借人)に対し本件物件を賃貸し、被上告人(転借人)はD村からこれを転借していた。しかし、昭和23年2月5日頃、上告人と被上告人の間で、賃料を1か年4,550円とし、その他の条件はD村と上告人間の契約と同様とする合意がなされた。上告人は、D村との賃貸借および転貸借が存続している以上、直接の賃貸借成立を認めることは不合理であるとして争った。
あてはめ
本件では、D村を介した賃貸借・転貸借関係が存在していたものの、上告人と被上告人との間で直接賃料を定め、その他の条件を既存の契約に準拠させるという具体的な合意がなされている。このような特段の事実関係の下では、中間者を介さない直接の法律関係を創設する当事者の意思を認めることが可能であり、既存の転貸関係と矛盾するものではない。したがって、昭和23年2月5日時点での直接契約の成立が肯定される。
結論
直接の賃貸借契約の成立を認めた原審の判断は正当であり、上告を棄却する。
実務上の射程
転貸借関係にある当事者間で直接の合意がなされた場合の契約認定に関する判断である。答案上は、賃貸借の成立要件(合意)の有無を検討する際、既存の転貸借関係の存在が直ちに直接契約の成立を妨げるものではないことを示す論拠として活用できる。
事件番号: 昭和36(オ)1284 / 裁判年月日: 昭和38年4月12日 / 結論: 棄却
賃借建物で鉄工場を経営していた賃借人が、その事業を自己が代表取締役となつて会社組織にした結果その建物を右会社に転貸するに至つた場合においては、賃貸人は賃貸借の合意解除の効果を転借人に対抗できる。
事件番号: 昭和31(オ)1007 / 裁判年月日: 昭和33年4月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】建物の譲渡と土地の貸借が同一書面に記載され、譲渡が贈与である等の明文がない場合でも、諸般の事情を総合して、建物譲渡が土地使用の対価でないならば、建物の贈与と土地の使用貸借の併存と認めることができる。 第1 事案の概要:上告人(会社)は、被上告人に対し、自己所有の建物を譲渡し、被上告人が上告人にその…