判旨
会社の目的の範囲は、定款に明示された目的に限らず、その遂行に必要な行為を含む。また、取締役が会社を代表して行う第三者の債務への保証は、取締役個人が法律上の利益を得るものでない限り、利益相反取引には当たらない。
問題の所在(論点)
1. 会社が融資を受ける条件として他社の債務を保証することが、会社の「目的の範囲内」の行為といえるか。 2. 取締役が代表として行った保証行為が、当該取締役が主債務者の株主であったり別個に個人保証をしていた場合、利益相反取引(自己取引・荷受取引)に該当するか。
規範
1. 会社の目的の範囲(民法34条、会社法旧商法相当条項):会社の目的の範囲内の行為とは、定款に指定された目的そのものに限らず、その目的を遂行する上で直接または間接に必要な行為を含む。 2. 利益相反取引(旧商法265条、現会社法356条1項2号):取締役が会社を代表して行う取引が「取締役と会社との利益が相反する」場合に当たるためには、当該取引によって取締役個人が法律上当然に利益を得、会社に不利益を与える関係にあることを要する。
重要事実
破産会社(資本金300万円)の取締役Fは、会社が銀行から運転資金の融資を受ける際、銀行側の条件に応じ、別会社E社の銀行に対する債務(約2,000万円)のうち500万円について、破産会社を代表して連帯保証契約を締結した。なお、FはE社の株主であり、かつE社の債務を個人でも連帯保証していた。破産管財人(上告人)は、本件保証が目的外であり、かつ取締役の利益相反取引として無効であると主張した。
あてはめ
1. 目的の範囲:破産会社は自らの事業発展に必要な運転資金の融資を銀行から受ける必要があり、その条件として本件保証を行ったものである。この事実関係の下では、当該保証は目的遂行に必要な行為であり、資本金の額に比して保証額が多額であっても、直ちに目的外とはならない。 2. 利益相反:本件保証はFが破産会社を代表して銀行との間で締結したものであり、F個人が取引の当事者ではない。また、FがE社の株主であっても、本件保証により法律上当然に利益を得るとはいえない。さらに、F個人の連帯保証債務が破産会社の保証によって消滅・軽減される関係にもないため、利益相反取引には当たらない。
結論
本件連帯保証契約は有効である。目的の範囲内であり、かつ利益相反取引の制限にも抵触しないため、上告を棄却する。
実務上の射程
1. 目的の範囲の広汎な解釈:融資を受けるための付随的行為(保証等)が広く肯定される根拠となる。 2. 利益相反の限定解釈:取締役が実質的に利益を得る立場にあっても、「法律上当然に」利益を得る関係にない限り、直接取引・間接取引(会社法356条1項)の適用範囲を限定的に捉える実務指針となる。
事件番号: 昭和33(オ)1081 / 裁判年月日: 昭和36年11月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不法行為等に基づく損害賠償における「相当因果関係」の範囲に関し、予見不能な特別の事情により生じた損害については、債務不履行の規定(民法416条)を類推適用し、債務者がその事情を予見し、または予見し得た場合を除き、賠償責任を負わない。 第1 事案の概要:被上告人(銀行)が、訴外Dに対し本件手形を交付…
事件番号: 平成21(受)319 / 裁判年月日: 平成21年12月4日 / 結論: その他
更生会社であった貸金業者において,届出期間内に届出がされなかった更生債権である過払金返還請求権につきその責めを免れる旨主張することは,管財人又は更生会社が,顧客に対し,過払金返還請求権が発生している可能性があることやその届出をしないと更正会社がその責めを免れることにつき注意を促さず,保全管理人が上記貸金業者の発行したカ…