マンションの分譲業者とその専有部分を建築当初に取得した者が、右専有部分を屋内駐車場として使用し、他の区分所有者の承諾なしに駐車場以外の用途に変更しない旨の合意をした場合に、右専有部分は、屋内駐車場として設計、宣伝され、建築当時においてはその用途を駐車場以外に変更することは建築基準法上許されなかったなどの事情があったとしても、原始規約には右専有部分の用途を駐車場に限定する旨を定めた規定がないなど判示の事実関係の下においては、右専有部分の区分所有権を売買により取得した者は、専有部分の用途制限に係る右合意に拘束されない。
マンションの専有部分の区分所有者の特定承継人が分譲業者と建築当初の取得者間の専有部分の用途制限に係る合意に拘束されないとされた事例
建物の区分所有等に関する法律30条,建物の区分所有等に関する法律46条
判旨
区分所有者の特定承継人が拘束される権利制限は、規約または集会決議に明記される必要があり、前所有者の債権的合意を当然に承継することはない。また、専有部分の使用目的を住宅に限定する規約変更が「特別の影響」を及ぼす場合、当該区分所有者の承諾を欠く限り、特定承継人に対してもその効力は生じない。
問題の所在(論点)
1. 規約に記載のない前所有者間の債権的合意(用途制限)の効力が、特定承継人に及ぶか。 2. 専有部分の使用用途を制限する規約の変更が、特定の区分所有者の権利に「特別の影響を及ぼすべきとき」に当たり、その承諾を欠く場合に特定承継人を拘束するか。
規範
1. 規約の特定承継人に対する効力(区分所有法46条1項)は、規約等の点検により制限を知り得ることを前提とする。したがって、特定承継人を拘束する権利制限は規約等に明記される必要があり、前所有者の債権的合意を安易に規約上の制限と同視することは許されない。 2. 規約の設定・変更が一部の区分所有者の権利に「特別の影響を及ぼすべきとき」は、その承諾を得なければならない(同法31条1項後段)。承諾のない規約変更は、承諾をしない区分所有者の特定承継人に対しても効力を生じない。
事件番号: 平成29(受)491 / 裁判年月日: 平成29年12月21日 / 結論: 棄却
改良住宅の入居者が死亡した場合において,その死亡時に当該入居者と同居していた者で,市長の承認を受けて同居している者等に限り,市長の承認を受けて引き続き当該改良住宅に居住することができる旨を定める京都市市営住宅条例(平成9年京都市条例第1号)24条1項は,住宅地区改良法29条1項,公営住宅法48条に違反し違法,無効である…
重要事実
居住専用として建築されたマンションの1階駐車場部分(101号室)について、分譲業者と原始所有者Dとの間で「駐車場以外の用途に変更しない」旨の債権的合意があったが、旧規約にはその旨の明記がなかった。その後、特定承継人Eが店舗に改造し、G、Hを経て上告人が取得。その間、管理組合は専有部分を住宅用途に限定する新規約12条を議決したが、当時の所有者Gは白紙委任状を提出したのみで個別的承諾はしていなかった。上告人は、店舗等としての使用確認等を求めて提訴した。
あてはめ
1. 旧規約には飲食店等の禁止規定はあるが、101号室の用途を駐車場に限定する規定はなかった。特定承継人の予見可能性を保護する区分所有法46条の趣旨から、Dの債権契約上の制限を規約と同視し、上告人を拘束することはできない。 2. 新規約12条により住宅以外の使用を全面的に禁止することは、駐車場・店舗として利用されてきた101号室の所有者にとって「特別の影響」を及ぼす。当時の所有者Gによる白紙委任状の提出は個別的承諾とは認められず、承諾を欠く規約変更は、その後の承継人である上告人を拘束しない。
結論
上告人は、前所有者間の債権的合意や、個別的承諾のない新規約の用途制限に拘束されない。原判決を破棄し、差し戻す。
実務上の射程
区分所有法31条1項の「特別の影響」の有無の判断において、従前の使用実態や規約上の定めの有無を重視する。また、特定承継人に対する対抗力の根拠を規約・決議の公示性に求めるため、売買契約書等の債権的特約のみでは後続の買主を縛れないことを明示した。実務上は、重説や規約への明文化の重要性を裏付ける判例である。
事件番号: 昭和42(オ)1209 / 裁判年月日: 昭和45年4月16日 / 結論: 破棄差戻
未登記建物の所有者が、その建物につき家屋台帳上他人の所有名義で登録されていることを知りながら、これを明示または黙示に承認した場合には、その所有者は、右台帳上の名義人から権利の設定を受けた善意の第三者に対し、民法九四条二項の類推適用により、右名義人がその所有権を有しなかつたことをもつて、対抗することができない。
事件番号: 昭和38(オ)654 / 裁判年月日: 昭和40年3月4日 / 結論: 棄却
占有の訴に対しては、本権に基づく反訴を提起することができる。
事件番号: 昭和61(オ)956 / 裁判年月日: 昭和63年1月26日 / 結論: 破棄自判
一 隣接する甲乙両土地上にまたがつて存在する建物の敷地のうち甲土地について法定地上権が成立し、建物の登記上、所在地番として一筆の土地の地番が表示され、その所在地番及び構造が実際と相違していても、右地番が大部分の敷地である乙土地の地番と多少相違するにとどまり、登記の表示全体において右建物の同一性を認識できる程度の軽微な相…
事件番号: 昭和39(オ)204 / 裁判年月日: 昭和39年9月25日 / 結論: 棄却
家屋賃貸借契約の解除もしくは解約の申入による賃貸借の終了を主張してその後の賃料相当の損害金を請求する場合には、審理の結果右解除もしくは解約の効力が認められず賃貸借契約が依然として存続しているものと判断されるのであれば、特段の事情のないかぎり賃料請求として右請求を維持するものと解されるから、このような場合に、賃料の支払を…