公職選挙法所定の詐偽投票罪の捜査のため、市議会議員選挙における特定の候補者甲の氏名を記載した投票済み投票用紙全部の差押えがされ、右用紙から検出された指紋と警察保管の指紋との照合がされたが、右選挙の選挙人で投票した甲及び乙らは詐偽投票罪の被疑者とされておらず、右捜査により甲及び乙らの投票内容が外部に知られたとの事実はうかがえないし、右捜査は甲及び乙らの投票内容を探索する目的でされたものではなく、照合に使用された指紋には甲及び乙らの指紋は含まれていないため、指紋の照合により甲及び乙らの投票内容が外部に知られるおそれもなかったなど判示の事実関係の下においては、甲及び乙らが自己の投票の秘密に係る法的利益を侵害されたということはできない。 (補足意見がある。)
公職選挙法所定の詐偽投票罪の捜査のため投票済み投票用紙の差押え等がされた場合において投票した選挙人の投票の秘密に係る法的利益の侵害がないとされた事例
憲法15条4項,公職選挙法52条,国家賠償法1条1項,刑訴法218条
判旨
投票済み投票用紙の差押え等の捜査は、投票内容を探索する目的ではなく、かつ特定の選挙人の投票内容が外部に知られた事実やそのおそれも認められない場合には、投票の秘密に係る法的利益を侵害したものとはいえない。
問題の所在(論点)
警察官による投票済み投票用紙の差押えおよび指紋照合等の捜査活動が、被疑者以外の選挙人の「投票の秘密(憲法15条4項)」に係る法的利益を侵害し、国家賠償法上の違法を構成するか。
規範
投票の秘密(憲法15条4項)に係る法的利益の侵害の有無は、捜査の目的が投票内容の探索にあるか、および、当該捜査によって投票内容が外部に知られ、または知られる現実的・具体的な危険が生じたか否かによって判断される。
重要事実
大阪府警察は、中核派構成員らによる詐偽投票罪の嫌疑に基づき、裁判官の発付した令状により、特定候補者に投じられた投票済み投票用紙1158枚を差し押さえた。警察は、これらから指紋を検出し、被疑者の指紋と照合して5名の指紋一致を確認した。本件損害賠償を請求した上告人ら(選挙人)は、本件の被疑者ではなく、その指紋が照合に使用された事実もなかった。
あてはめ
本件差押え等の一連の捜査は、詐偽投票罪の被疑者が投票した事実を裏付ける目的で行われたものであり、上告人らの投票内容を探索する目的ではない。また、押収された投票用紙から検出された指紋との照合に上告人らの指紋は含まれておらず、上告人らの投票内容が外部に知られた事実はうかがえない。したがって、上告人らの投票内容が外部に知られるおそれもなく、投票の秘密を侵害する現実的・具体的な危険が生じたともいえない。
結論
上告人らは投票の秘密に係る自己の法的利益を侵害されたとはいえず、損害賠償請求は認められない。
実務上の射程
本判決は、捜査目的の正当性と秘匿性の維持を重視し、結果として個別の投票内容が特定されない限り、形式的な差押えのみでは法的利益の侵害を認めない。答案上は、憲法15条4項の保障範囲と捜査の必要性の対立局面において、利益侵害の『現実的・具体的危険』の有無を判断する枠組みとして活用できる。
事件番号: 平成14(受)1656 / 裁判年月日: 平成15年9月12日 / 結論: 破棄差戻
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