弁護士法八条、九条、三六条二項は、憲法二二条一項に違反しない。
弁護士法八条、九条、三六条二項と憲法二二条一項
憲法22条1項,弁護士法8条,弁護士法9条,弁護士法36条2項
判旨
弁護士に関する規制は、公共の福祉のために必要な制限であり、憲法22条1項に違反しない。
問題の所在(論点)
弁護士法をはじめとする弁護士に関する諸規制は、憲法22条1項(職業選択の自由)に違反し、違憲ではないか。
規範
職業の選択、遂行の自由(憲法22条1項)は、絶対無制限なものではなく、公共の福祉による合理的制限に服する。特に、専門的知見や高い倫理性が要求される職種については、その公共性に鑑み、法律による厳格な資格要件等の規制を課すことが許容される。
重要事実
上告人は、弁護士法等の弁護士制度に関する規制が、憲法22条が保障する職業選択の自由を侵害するものであると主張して争った。原審が当該規制を合憲と判断したため、上告人が最高裁判所へ上告した事案である。
あてはめ
弁護士は高度な法律専門職であり、司法の公正な運用を支える公共的使命を負っている。このような職種に対する規制は、その業務の特殊性と社会的影響力の大きさに照らせば、「公共の福祉」を実現するために必要かつ合理的な範囲内の制限であると認められる。したがって、昭和34年7月8日大法廷判決の趣旨に照らしても、本件の規制は正当な制限の範囲内にあるといえる。
事件番号: 昭和48(行ツ)59 / 裁判年月日: 昭和51年3月4日 / 結論: 棄却
一、弁護士法五八条により弁護士の懲戒を請求した者は、同法六一条により日本弁護士連合会に対してした異議申出を棄却されても、右異議申出棄却裁決につき取消訴訟を提起することを許されない。 二、(省略)
結論
弁護士に関する規制は憲法22条1項に違反せず合憲である。上告を棄却する。
実務上の射程
職業の自由の制限が問題となる事案において、司法試験答案上は「薬事法判決」等の目的二分論を用いるのが通例だが、弁護士のような高度な公共性・専門性を有する職種の規制については、本判例を引用して公共の福祉による制限の合理性を肯定する補強として使用できる。ただし、本判決自体は非常に簡潔なため、具体的な審査基準の定立には他判例の法理を併用すべきである。
事件番号: 平成15(行ヒ)68 / 裁判年月日: 平成18年9月14日 / 結論: 破棄自判
外国法人から賃借建物の明渡しに関する交渉を依頼された弁護士が,(1)依頼者に対し,既に相手方から受領していた解決金の一部について,いまだ受領していないなどと虚偽の報告をしたこと,及び(2)独断で相手方と再交渉し,追加立退料を受領しながら,依頼者に報告しないで秘匿したことを懲戒事由として,所属弁護士会から業務停止3月の懲…
事件番号: 昭和49(行ツ)52 / 裁判年月日: 昭和49年11月8日 / 結論: 棄却
弁護士懲戒請求者の異議申出を棄却した日本弁護士連合会の裁決に対し、右請求者が提起した取消訴訟は、不適法である。
事件番号: 昭和33(オ)831 / 裁判年月日: 昭和34年12月4日 / 結論: 棄却
弁護士会または日本弁護士連合会が弁護士を懲戒した後に、懲戒請求者と被請求弁護士との間に示談が成立したとしても、かかる事実は、懲戒処分の当否とは関係がなく、懲戒処分の当否を争う訴訟の裁判に際し斟酌すべき事実ではない。