地方公共団体が臨時石炭鉱害復旧法に基づく復旧工事として溜池の堤塘工事を施行し、工事の完成により鉱害復旧の目的を達成し、その構造上に欠陥もなく、右地方公共団体が同種工事を継続又は反復することが予定されていないときは、右地方公共団体は、堤塘工事終了後も右溜池を事実上管理しているものとはいえず、国家賠償法二条一項の責任を負わない。
溜池の堤塘工事を施行した地方公共団体が当該溜池を事実上管理しているものとはいえないとして国家賠償法二条一項の責任が否定された事例
国家賠償法2条1項
判旨
臨時石炭鉱害復旧法に基づき施行された溜池の堤塘工事が完了し、目的を達成した後は、施工者が同種工事を継続・反復する予定もなく事実上の管理も行っていなければ、国家賠償法2条1項の責任を負わない。
問題の所在(論点)
工事を施行した行政主体が、工事完了後もなお国家賠償法2条1項にいう管理責任を負う「管理主体」に当たるか。
規範
国家賠償法2条1項の「公の営造物」の設置又は管理の瑕疵による責任を問うためには、当該行政主体が対象物を事実上管理していることが必要である。工事完了後に目的を達成し、構造上の欠陥もなく、かつ将来にわたる継続的・反復的な工事予定がない場合には、特段の事情がない限り事実上の管理主体とは認められない。
重要事実
被上告人(国側)は、臨時石炭鉱害復旧法に基づき本件溜池の堤塘工事を施行した。当該工事は鉱害復旧を目的とするものであり、工事完了によってその目的を達成した。本件溜池の構造自体に欠陥はなく、また被上告人が同種工事を継続または反復することは予定されていなかった。その後、本件溜池において事故が発生したため、被害者側が国家賠償法2条1項に基づく損害賠償を求めた。
あてはめ
本件において、被上告人の行った工事は特定の復旧目的を達成するためのものであり、完了後はその目的を既に果たしている。構造上の欠陥が存在しない以上、完了後の維持管理についてまで被上告人が責任を負うべき瑕疵はない。また、将来の継続的な工事予定もないことから、被上告人が本件溜池を事実上管理していると認めるに足りる事情が存在しない。したがって、被上告人は管理主体としての地位を有しないと解される。
結論
被上告人は本件溜池を事実上管理しているとは認められないため、国家賠償法2条1項の賠償責任を負わない。
実務上の射程
営造物責任の「管理」概念について、工事を施行したのみの主体と、完成後の維持管理を担う主体を区別する際の基準として機能する。工事終了後に事実上の支配・管理が移転したか否か、また工事自体の瑕疵(構造上の欠陥)の有無が、責任主体の判断において重要となる。
事件番号: 昭和53(オ)979 / 裁判年月日: 昭和55年3月13日 / 結論: 棄却
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