道路位置指定処分がされたが現実に道路として開設されていない土地上に工作物が設置されている場合において、隣接地の所有者は、右処分がされた土地を自由に通行し得ることを前提として、右工作物の撤去を求めることができない。
道路位置指定処分がされた土地上に設置された工作物の撤去請求が許されないとされた事例
建築基準法(昭和34年法律第156号による改正前のもの)42条1項,民法198条,民法710条
判旨
建築基準法上の道路位置指定を受けていても、当該土地が現実の道路として開設されていない場合には、第三者はその土地を自由に通行する権利を有しない。
問題の所在(論点)
建築基準法42条1項5号に基づく道路位置指定を受けた土地について、現実に道路として開設されていない場合であっても、周辺住民等の第三者に自由通行権(人格権的権利)に基づく妨害排除請求が認められるか。
規範
特定の土地につき道路位置指定処分がされた場合、当該土地が現実に道路として開設されているときには、当該土地所有者以外の者もその土地を自由に通行することができる。換言すれば、現実に道路として開設されていない限り、指定処分のみをもって第三者の自由通行権は発生しない。
重要事実
Xは、隣地所有者Aが自己の所有地(A1土地)の一部を含む範囲について建築基準法上の道路位置指定(本件道路位置指定)を受けていることを根拠に、Aが指定範囲内の境界線上に築造したブロック塀の撤去を求めた。しかし、A1土地のうち指定を受けた部分は、従前から存在した竹垣や生垣の内側に位置しており、客観的に道路として一般の通行に供される形態にはなっていなかった。
あてはめ
本件において、A1土地のうち指定を受けた部分は、境界上の生垣の内側に位置しており、現実に道路部分として開設されていた事実は認められない。自由通行権が認められるためには、指定処分に加え「現実に道路として開設されていること」が必要である。本件ではこの実態を欠くため、Xに当該土地を自由に通行し得る権利は認められず、ブロック塀の撤去を求めることはできない。
結論
被上告人(X)の請求を棄却する。現実に道路として開設されていない土地については、道路位置指定がなされていても通行の自由権に基づく妨害排除請求は認められない。
実務上の射程
道路位置指定に伴う通行利益の保護範囲を限定した判例である。答案上は、人格権的通行権の成立要件として「位置指定処分の存在」だけでなく「現実の道路としての開設」という客観的態様の具備が必要であることを指摘する際に用いる。位置指定道路における通行妨害事案での「権利の有無」の判断基準となる。
事件番号: 昭和39(オ)1002 / 裁判年月日: 昭和41年9月22日 / 結論: 棄却
町が私道に設置した排水用土管の撤去を求める私道所有者の請求は、同人になんらの利益をもたらさない場合には、権利の濫用として許されない。
事件番号: 平成15(受)1886 / 裁判年月日: 平成18年3月23日 / 結論: 破棄差戻
被告の所有する土地が建築基準法42条2項所定の道路(いわゆるみなし道路)に当たるとして同土地周辺の建物所有者である原告らが提起した人格権的権利に基づき同土地上の工作物の撤去を求める訴訟において,被告が同土地がみなし道路であることを否定することは,被告が,建物を建築するに際し,同土地がみなし道路であることを前提に建築確認…