ガソリンスタンドの店舗用建物に対する抵当権設定当時、建物内の設備と一部管によつて連通する地下タンク、ノンスペース型計量機、洗車機などの諸設備を右建物の敷地上又は地下に近接して設置し、これらを右建物に付属させて経済的に一体として右営業に使用していたなど判示の事情の下においては、右諸設備には、右建物の従物として抵当権の効力が及ぶ。
ガソリンスタンドの店舗用建物に設定された抵当権の効力がその設定当時建物の従物であつた地下タンク、ノンスペース型計量機洗車機などの諸設備にも及ぶとされた事例
民法87条,民法370条
判旨
ガソリンスタンド用建物に設置された地下タンクや計量機等の諸設備は、建物に付属して経済的に一体をなすものとして、建物の従物にあたると解するのが相当である。
問題の所在(論点)
ガソリンスタンド用建物の敷地に設置された地下タンク、計量機、洗車機等の諸設備が、民法87条1項の「従物」に該当し、建物に対する抵当権の効力が及ぶか。
規範
「従物」(民法87条1項)とは、主物の常用に供するため、これに附属せしめられた独立の物を指す。また、抵当権の効力は、特段の事情のない限り、設定当時から存在する従物にも及ぶ(同法370条参照)。この「常用に供する」か否かは、物の客観的・経済的な性質、場所的関係、及び所有者の目的等を総合して判断されるべきである。
重要事実
訴外D石油は、ガソリンスタンド店舗として建築された本件建物を所有し、その敷地(借地)の地上・地下に地下タンク、計量機、洗車機等の諸設備を設置して営業していた。これらの設備は建物内の設備と一部管で連通しており、建物とともにガソリンスタンドとして機能していた。D石油は本件建物に根抵当権を設定したが、その後、被上告人が競売により本件建物を競落し代金を支払った。本件は、これら諸設備の所有権が建物とともに移動したかが争点となった。
あてはめ
まず、本件建物は当初からガソリンスタンド店舗として設計・建築されており、諸設備はこれに付属してガソリンスタンドとしての機能を補完している。次に、諸設備は敷地の地上又は地下に建物に近接して設置され、一部は管によって建物内設備と連通しており、物理的・場所的関連性が認められる。さらに、これらは建物と共に使用されることでガソリンスタンドとして経済的に一体をなしているといえる。以上から、本件諸設備は建物の常用に供するために附属せしめられた「従物」にあたると評価できる。したがって、特段の事情のない本件では、建物への根抵当権の効力はこれら設備にも及ぶ。
結論
本件諸設備は本件建物の従物であり、建物を競落した被上告人は、同時にこれら諸設備の所有権を取得する。
実務上の射程
ガソリンスタンド等の設備が建物から独立した動産であっても、機能的に一体不可分であれば従物として抵当権の効力が及ぶことを示した。実務上は、主物と場所的に近接し、かつ主物の特定の効用(店舗としての営業等)を助ける客観的関係があるかを中心に論じるべきである。
事件番号: 平成29(受)675 / 裁判年月日: 平成29年12月14日 / 結論: 棄却
不動産は,商法521条が商人間の留置権の目的物として定める「物」に当たる。