都営住宅の賃貸借についても、借家法一条ノ二にいわゆる正当の事由に該当する事実を主張して同条により解約の申入れをすることができ、その場合には、東京都営住宅条例(昭和二六年東京都条例第一一二号)二〇条一項六号は適用されない。
借家法一条ノ二にいわゆる正当の事由に基づく都営住宅の解約申入れと東京都営住宅条例(昭和二六年東京都条例第一一二号)二〇条一項六号の適用の有無
借家法1条ノ2,公営住宅法22条,東京都営住宅条例(昭和26年東京都条例第112号)20条1項6号
判旨
公営住宅の使用許可による賃貸借関係には借家法(現・借地借家法)が適用され、管理者が解約を申し入れるには正当事由を要する。
問題の所在(論点)
公営住宅の使用関係に借家法(現・借地借家法)が適用されるか。また、条例に基づく使用許可の取消しについて、借家法上の「正当の事由」が必要とされるか。
規範
公営住宅法に基づく公営住宅の使用許可によって成立する法的関係は賃貸借としての性質を有し、一般法である借家法(現・借地借家法)が適用される。したがって、地方自治体が当該住宅の使用許可を取り消す(解約を申し入れる)場合には、借家法1条の2(現・同法28条)に規定される「正当の事由」を具備する必要がある。
重要事実
東京都は、東京都営住宅条例20条1項6号に基づき、公営住宅の入居者に対し使用許可の取消し(明渡し請求)を行った。当該条例規定は公営住宅法に基づくものであるが、入居者側は借家法の適用を主張して争った。
あてはめ
公営住宅の使用関係の実態は賃貸借であるから、公営住宅法に特別の定めがない限り、一般法である借家法が適用される。本件における条例に基づく使用許可の取消しの意思表示は、借家法上の解約申入れに相当する。原審の認定した事実関係(詳細は判決文からは不明だが、適法に確定した事実)に基づき、当該解約申入れには正当事由が認められ、かつ権利の濫用にも当たらないと判断される。
結論
公営住宅の使用関係には借家法が適用され、管理者の解約申入れには正当事由が必要であるが、本件では正当事由が認められるため、明渡し請求は適法である。
実務上の射程
行政処分としての体裁(使用許可の取消し)をとっていても、私法上の賃貸借の法理が適用される点に射程がある。答案上は、公営住宅からの退去強制が「正当事由」や「信頼関係破壊の法理」によって制限されることを論じる際の根拠として用いる。ただし、公営住宅法上の高額所得者に対する明渡請求など、公営住宅法に特別の定めがある場合はその特則が優先されることに注意を要する。
事件番号: 昭和25(オ)249 / 裁判年月日: 昭和27年6月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】借地借家法(旧借家法)の下において、賃貸人による解約申入れに「正当の事由」があるか否かは、賃貸人・賃借人双方の建物の使用を必要とする事情に加え、立退料の提供等の諸般の事情を総合考慮して判断される。 第1 事案の概要:本件は、建物の賃貸人が賃借人に対し、建物の解約申入れを行った事案である。原審(第2…