上告理由書記載の上告理由の一部を撤回する旨の書面が裁判所に到達した後に、これと同旨の理由に基づいて提起された附帯上告は、その提起が上告理由書提出期限後であるときは、不適法である。
上告理由の一部の撤回と附帯上告の適否
民訴法372条,民訴法396条,民訴規則50条,民訴規則57条
判旨
確認の訴えにおける確認の利益が認められるためには、被告が原告の主張する権利を争い、原告の法的地位に現に危険や不安が生じていることが必要である。被告が権利の帰属を争っていない部分については、確認の利益を欠き不適法となる。
問題の所在(論点)
遺産である株式の共有持分確認請求において、被告が自らの権利を主張せず、原告の権利を積極的に争っていない場合に、当該部分について確認の利益が認められるか。
規範
確認の訴えが適法であるためには、即時確定の利益(確認の利益)が必要である。これは、原告の権利または法的地位に危険または不安が現在しており、その危険・不安を除去するため、被告との間で当該権利関係を確認することが有効かつ適切である場合に認められる。したがって、被告が当該権利について自らに帰属すると主張しておらず、原告の権利者としての地位を否定していない場合には、特段の事情がない限り、確認の利益は認められない。
重要事実
上告人の父Dが死亡し、上告人と被上告人B1、B4、B7が相続人となった。上告人は、遺産である本件株式(全1万株)について、当初は4分の1ずつの共有持分を確認する訴えを提起していたが、原審において持分割合を11分の3に拡張する請求を行った。しかし、被上告人らのうち、一部の者(B1、B2、B3、B4)は特定の株式について自己の権利を主張しておらず、上告人の権利を否定するなどの危険を生じさせる行為も特段認められなかった。
あてはめ
判旨は、上告人が請求を拡張した11分の3の共有持分のうち、一部の株式については、被上告人ら(B1ら)において「当該株式に係る権利が自己に帰属する旨を主張しているものではない」と認定した。また、上告人の権利者としての地位に「危険、不安定等何らかの不利益を及ぼすおそれが現に存在する場合」にも当たらないとした。このように、被告との間に紛争の実態が認められない部分については、確認判決によって不安を除去する必要性がないため、訴えは適格を欠くと評価される。
結論
被上告人らが自己の権利を主張していない株式についての持分確認請求は、確認の利益を欠くため却下される。他方、相続分に基づき権利が争われている範囲については、その持分の限度で確認請求が認容される。
実務上の射程
確認の訴えの適法性を論じる際、被告の態様(争いがあるか否か)に着目して、確認の利益の有無を振り分ける際の論拠として有用である。特に共同相続人間の紛争において、各被告との関係で個別に確認の利益を吟味する必要性を示唆している。
事件番号: 昭和30(オ)545 / 裁判年月日: 昭和35年3月11日 / 結論: 棄却
一 原告の権利を否認する被告において、その権利を第三者の権利であると主張するときでも、その結果原告の権利者としての地位に危険を及ぼす虞が現に存する場合は、その被告に対し権利の確認を求める利益があると解すべきである。 二 券面額のある金銭債権にあたらない権利を目的として発せられた転付命令は、実体法上その内容にそう権利移転…
事件番号: 昭和34(オ)554 / 裁判年月日: 昭和37年8月28日 / 結論: 棄却
会社が他に鉱業権を譲渡した場合に、右会社の債権者または株主であるからといつて、ただその一事により直ちに、同人が右鉱業権の譲受人に対し、その譲渡契約が無効であることを理由として右鉱業権が会社に属することの確認を求める利益を有するとはいえない。
事件番号: 昭和42(オ)1293 / 裁判年月日: 昭和43年10月17日 / 結論: 破棄差戻
株主総会決議無効確認の訴において、原告が自己の株主であることを立証するために同人名義の株券を書証として提出した場合であつても、その提出が二審においてはじめてされたものであるうえ、右株券には同人名義の白地式裏書があり、同人がこれを他に譲渡して一審当時はこれを所持していなかつたことを窺わせる判示の如き証拠があるときには、こ…
事件番号: 昭和28(オ)1214 / 裁判年月日: 昭和30年5月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】売買契約の売主が目的物の所有権が買主に属することを争う場合、買主は当該売主に対し、所有権確認の訴えを提起する確認の利益を有する。 第1 事案の概要:上告人A1は、自らおよび上告人A2の法定代理人として、本件各不動産を被上告人(買主)に売り渡した。しかし、その後上告人A1は、本件不動産の所有権が被上…