クラブのホステスが顧客の当該クラブに対する飲食代金債務についてした保証契約は、ホステスにおいて自己独自の客としての当該顧客との関係の維持継続を図ることによりクラブから支給される報酬以外の特別の利益を得ることを目的として任意に締結したと認められるなど原判示のような事情がある場合には、公序良俗に反するものとはいえない。
クラブのホステスが顧客の飲食代金債務についてした保証契約が公序良俗に反するものとはいえないとされた事例
民法90条,民法446条
判旨
クラブのホステスが特定の客に対する掛売代金債務を保証する契約について、ホステスが自己の利益を図るため任意に締結した等の事情がある場合には、公序良俗に反し無効であるとはいえない。
問題の所在(論点)
ホステスが客の飲食代金債務を保証する契約が、ホステスの立場や経済的負担に照らし、公序良俗(民法90条)に反して無効となるか。
規範
契約が公序良俗(民法90条)に反するか否かは、当該契約が締結されるに至った動機、目的、態様、およびそれによって得られる利益等の諸事情を総合的に勘案して判断すべきである。
重要事実
クラブに勤務するホステス(上告人)が、自己独自の客(D)との関係を維持・継続することを目的として、経営者(被上告人)に対し、Dの飲食代金の掛売を求めるとともに、その代金債務を担保するための保証契約を締結した。ホステスは、これによりクラブから支給される通常の報酬以外の特別な利益を得る意図を有していた。
事件番号: 平成19(受)1128 / 裁判年月日: 平成21年9月11日 / 結論: 破棄差戻
貸金業者が,借主に対し,元利金の支払を怠ったときは当然に期限の利益を喪失する旨の特約の下に3回にわたり金銭の貸付けを行い,各貸付けにつき借主が期限の利益を喪失した後に,一部弁済を受領する都度,弁済金を遅延損害金のみ又は遅延損害金と元金の一部に充当した旨記載した領収書兼利用明細書を交付していた場合において,次の(1)〜(…
あてはめ
本件保証契約は、ホステスが自己独自の客との関係維持を図り、報酬以外の特別の利益を得るという自己の利益のために、自ら進んで(任意に)経営者に働きかけて締結されたものである。このような締結の動機および目的の正当性に加え、契約に至る経緯に強制的態様が認められないという事情を総合勘案すれば、本件契約が社会的妥当性を欠くとは評価できない。
結論
本件保証契約は公序良俗に反するものとはいえず、有効である。
実務上の射程
労働者類似の立場にある者が負う保証債務の有効性が争われる場面で活用できる。形式的な負担の重さだけでなく、義務を負う側の「任意の決定」や「反面的な利益(インセンティブ)」の有無を重視して90条違反を否定する際の判断枠組みとして有用である。
事件番号: 昭和37(オ)856 / 裁判年月日: 昭和38年7月11日 / 結論: 棄却
旧利息制限法のもとでは、利息、損害金として任意に支払われた金額が、同法所定の利息損害金の率を超えていても、超過分を元本の支払に充当すべきではない。
事件番号: 平成19(受)996 / 裁判年月日: 平成21年4月14日 / 結論: 破棄差戻
貸金業者が,貸付けに係る債務につき,借主が期限の利益を喪失した後に,借主に対して残元利金の一括支払を請求せず,借主から長期間多数回にわたって分割弁済を受けていた場合において,貸金業者が,債務の弁済を受けるたびに受領した金員を利息ではなく損害金へ充当した旨記載した領収書兼利用明細書を交付していたから,期限の利益の喪失を宥…
事件番号: 昭和27(オ)978 / 裁判年月日: 昭和29年11月5日 / 結論: 棄却
当事者本人訊問が唯一の証拠方法であつても、適法な呼出を受けた当事者が、何等理由を届出でることなく出頭しなかつた場合には、その取調をしないで審理を終結しても、違法とはいえない。
事件番号: 昭和39(オ)180 / 裁判年月日: 昭和39年9月25日 / 結論: 棄却
証拠の排斥については、その理由を一々具体的に判示することを要しない。(昭和三〇年(オ)第八五一号同三二年六月一一日第三小法廷判決、民集一一巻六号一〇三〇頁参照)