戦傷病者戦没者遺族等援護法附則二項及び恩給法九条一項三号の各規定は、いずれも憲法一四条一項に違反しない。 (意見がある。)
戦傷病者戦没者遺族等援護法附則二項及び恩給法九条一項三号の各規定と憲法一四条一項
憲法14条1項,戦傷病者戦没者遺族等援護法附則2項,恩給法9条1項3号
判旨
旧軍人等の援護法や恩給法において台湾住民を対象外とする国籍条項は、補償問題が外交交渉で解決されるべきものとされていた等の経緯から合理的根拠があり、憲法14条1項に違反しない。
問題の所在(論点)
1. 戦争損害に対し、憲法29条3項を根拠として直接補償を請求できるか。 2. 援護法・恩給法の国籍条項により、台湾住民を給付対象から除外することは、憲法14条1項に違反するか。
規範
憲法14条1項は合理的理由のない差別を禁止する趣旨であり、事実関係上の差異を理由とする法的取扱いの区別は、その区別が合理性を有する限り同条に違反しない。また、戦争損害は国民が等しく受忍すべきもので、これへの補償は憲法29条3項の予想しないところであり、政策的配慮の問題にすぎない。
重要事実
台湾住民である元日本軍軍人・軍属らが、戦傷病者戦没者遺族等援護法(援護法)や恩給法において、日本国籍を有しないことを理由に給付対象外とされた(本件国籍条項)。上告人らは、これが憲法14条1項(法の下の平等)や29条3項(正当な補償)に違反するとして国家賠償等を求めた。
事件番号: 平成12(行ツ)191 / 裁判年月日: 平成14年7月18日 / 結論: 棄却
財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定(昭和40年条約第27号)の締結後,いわゆる在日韓国人である旧軍人等に対して何らかの措置を講ずることなく恩給法9条1項3号を存置していたことは,憲法14条1項に違反するということはできない。
あてはめ
1. 戦争犠牲は国の存亡に関わる非常事態下で国民が等しく受忍すべき「一般の犠牲」であり、憲法29条3項の適用範囲外である。 2. 援護法制定当時、台湾住民の国籍帰属は分明でなかった。また、日華平和条約により台湾住民の請求権処理は両国政府間の「特別取極」の主題とされ、外交交渉による解決が予定されていた。したがって、国籍による区別には十分な合理的根拠がある。その後、日中国交正常化により協議が事実上不可能となったが、そのことを考慮しても、いかなる措置を講ずるかは立法政策の裁量に属する事項である。
結論
本件国籍条項は憲法14条1項に違反せず、また憲法29条3項に基づく補償請求も認められない。
実務上の射程
平和条約や戦後処理に伴う国籍喪失者に係る給付制限の合憲性を肯定した射程は長い。立法府の広い裁量を認めており、社会保障的性質を有する給付における差別的取扱いの合理性判定において、歴史的背景や外交的経緯を重視する際の先例となる。
事件番号: 平成12(行ツ)106 / 裁判年月日: 平成13年11月16日 / 結論: 棄却
財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定(昭和40年条約第27号)を受けて,旧日本軍の軍人であったが日本国との平和条約により日本国籍を喪失した大韓民国に在住する韓国人について恩給法9条1項3号を存置することとし,その後も存置していたことは,憲法14条1項に違反するということはで…
事件番号: 平成10(行ツ)313 / 裁判年月日: 平成13年4月5日 / 結論: 棄却
財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定(昭和40年条約第27号)の締結後,いわゆる在日韓国人の軍人軍属に対して援護の措置を講ずることなく戦傷病者戦没者遺族等援護法附則2項を存置していたことは,憲法14条1項に違反するということはできない。 (補足意見がある。)
事件番号: 昭和26(あ)1739 / 裁判年月日: 昭和28年3月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所が特定の国籍(朝鮮人)を理由に差別的措置を講じた事実が認められない場合、法の下の平等を定める憲法14条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人AおよびBが、原判決(下級審)の判断について、被告人が朝鮮人であることを理由に差別的措置がなされたと主張し、憲法14条違反を理由に上告した事案である。…