自動車損害賠償保障法一六条一項に基づく保険会社の被害者に対する損害賠償額支払債務は、期限の定めのない債務であり、被害者から履行の請求を受けた時に履行遅滞となる。
自動車損害賠償保障法一六条一項に基づく保険会社の被害者に対する損害賠償額支払債務の履行遅滞となる時期
自動車損害賠償保障法16条1項,民法412条3項
判旨
自動車損害賠償保障法16条1項に基づく被害者の保険会社に対する直接請求権は、期限の定めのない債務であり、履行の請求を受けた時から遅滞に陥る。
問題の所在(論点)
自賠法16条1項に基づく被害者の保険会社に対する直接請求権について、その履行遅滞の発生時期がいつかが問題となる。
規範
自賠法16条1項に基づく保険会社の被害者に対する損害賠償額支払債務は、期限の定めのない債務として発生し、民法412条3項により、保険会社が被害者からの履行の請求を受けた時にはじめて履行遅滞に陥る。
重要事実
被害者である上告人が、自動車損害賠償保障法16条1項に基づき、保険会社に対して直接損害賠償額の支払を求めた事案。当該支払債務がいつから履行遅滞に陥るか、すなわち不法行為時か履行請求時かが争点となった。
あてはめ
自賠法16条1項は、加害者の保有者・運転者に対する損害賠償請求権とは別に被害者に認められた独自の直接請求権である。この権利の性質上、債務の期限について特段の定めはない。したがって、民法412条3項の原則に従い、債権者である被害者から履行の請求がなされた時点で債務者は遅滞の責任を負うと解される。
結論
保険会社は、被害者から履行の請求を受けた時からはじめて履行遅滞の責任を負う。
実務上の射程
加害者本人に対する不法行為に基づく損害賠償請求は不法行為時から当然に遅滞に陥るが、自賠法上の直接請求はこれと異なり履行請求時(通常は請求書到達時)が遅滞の始期となる。実務上、遅延損害金の算定においてこの区別を厳格に行う必要がある。
事件番号: 昭和52(オ)903 / 裁判年月日: 昭和54年5月31日 / 結論: 棄却
昭和四〇年一〇月に改訂され昭和四七年まで存在した自動車保険普通保険約款に基づく自動車対人賠償責任保険契約における保険金支払債務は、被保険者の被害者に対し支払うべき損害賠償額が確定するまではその履行期が到来しない。
事件番号: 平成16(受)29 / 裁判年月日: 平成17年6月2日 / 結論: その他
1 自動車損害賠償保障法72条1項後段の規定による損害のてん補額支払義務は,期限の定めのない債務であり,政府が被害者から履行の請求を受けた時から履行遅滞となる。 2 自動車損害賠償保障法72条1項後段の規定による損害のてん補額の算定に当たり,被害者の過失をしんしゃくすべき場合であって,国民健康保険法58条1項の規定によ…