請負契約が請負人の責に帰すべき事由により中途で終了した場合において、残工事の施工に要した費用として、注文者が請負人に賠償を請求することができるのは、右費用のうち、未施工部分に相当する請負代金額を超える部分に限られる。
請負契約が請負人の責に帰すべき事由により中途で終了した場合に注文者が残工事に要した費用の賠償を求めうる範囲
民法415条,民法416条,民法632条
判旨
請負契約が中途で終了し、請負人が出来高に応じた報酬を請求できる場合、注文者が未施工部分を他業者に依頼して要した費用は、当初の請負代金のうち未施工部分に相当する額を超過する額に限り、損害として賠償請求できる。
問題の所在(論点)
請負人の債務不履行により請負契約が中途終了し、出来高に応じた報酬請求権が認められる場合、注文者が未施工部分を完成させるために支出した費用について、民法415条に基づく損害賠償として請求できる範囲はどこまでか。
規範
請負において仕事が完成に至らないまま契約関係が終了し、請負人が施工済み部分に相当する報酬を請求できる場合、たとえ契約終了が請負人の債務不履行によるものであっても、注文者が残工事の施工に要した費用を損害として請求できるのは、当該費用が請負代金中の未施工部分の報酬相当額を超過する場合に限り、その超過額の賠償を請求できるにとどまる。
重要事実
請負人(上告人)は、代金811万2200円の請負契約に基づき約85%を施工したが、残りを放置した。注文者(被上告人)は他の業者に残工事を131万4900円で発注して完成させた。請負人は出来高に応じた報酬(689万5370円)の支払を本訴で請求し、注文者は債務不履行に基づき残工事費用等の損害賠償を反訴で請求した。原審は残工事費用全額を損害として認めたため、請負人が上告した。
事件番号: 昭和53(オ)924 / 裁判年月日: 昭和54年2月2日 / 結論: 棄却
請負契約における仕事の目的物の瑕疵につき、注文者が請負人に対し、あらかじめ修補の請求をすることなく直ちに修補に代わる損害賠償の請求をした場合には、右請求の時を基準として賠償額を算定すべきである。
あてはめ
本件では、請負人は出来高85%に相当する689万5370円を請求できる。一方で、全工程の請負代金(811万2200円)から出来高相当分を差し引いた未施工部分の報酬相当額は121万6830円である。注文者が実際に支出した残工事費用131万4900円のうち、この未施工部分の報酬相当額(注文者が本来支払うべきであった額)を超える部分は9万8070円となる。したがって、残工事費用に関する損害は、この超過額である9万8070円の限度で認められるべきである。これに工事遅延の損害を加算した額が正当な賠償額となる。
結論
注文者は、残工事費用が当初の請負代金中の未施工部分相当額を超過する額に限り、その賠償を請求できる。原審が残工事費用全額の賠償を認めた部分は破棄される。
実務上の射程
出来高報酬が発生する中途終了の事案(合意解除や仕事完成前の解除)において、損害の算定方法を定めた射程を有する。答案上では、注文者が「本来支払うはずだった代金」と「実際に支出した総額」の差額を損害と評価する論理として用いる。
事件番号: 平成16(受)519 / 裁判年月日: 平成18年4月14日 / 結論: 破棄自判
本訴及び反訴が係属中に,反訴原告が,反訴請求債権を自働債権とし,本訴請求債権を受働債権として相殺の抗弁を主張することは,異なる意思表示をしない限り,反訴を,反訴請求債権につき本訴において相殺の自働債権として既判力ある判断が示された場合にはその部分を反訴請求としない趣旨の予備的反訴に変更するものとして,許される。
事件番号: 平成22(受)2324 / 裁判年月日: 平成23年12月16日 / 結論: 破棄差戻
1 注文者と請負人が建築基準法等の法令の規定に適合しない建物の建築を目的とする請負契約を締結した場合において,次の(1)〜(3)など判示の事情の下では,上記請負契約は,公序良俗に反し,無効である。 (1) 上記請負契約は,建築基準法所定の確認及び検査を潜脱するため,法令の規定に適合した建物の建築確認申請用図面のほかに,…