いわゆる預託金会員組織のゴルフクラブが理事会の決議によつてした預託金返還時期を延期する旨の会則の改正は、既に入会した会員に対しては、その効力を有しない。
いわゆる預託金会員組織のゴルフクラブが理事会の決議によつてした預託金返還時期を延期する旨の会則の改正と既に入会した会員に対する効力の有無
民法1編4章1節
判旨
預託金制ゴルフ会員権の規約変更による据置期間の延長は、会員の基本的な権利に対する重大な変更であるため、会則に改正条項があっても、既存会員の個別的承諾がない限りその効力を主張できない。
問題の所在(論点)
会則に改正条項が存在する場合に、理事会決議のみによって、既存会員の預託金返還請求権という「基本的な権利」を制限する据置期間延長の効力を生じさせることができるか。
規範
社団としての実体を有しないゴルフ場会員組織の会則は、会社と会員との間の契約内容を構成する。会則に改正条項が存在する場合であっても、預託金の据置期間を延長するような、会員の契約上の基本的な権利に対する重大な変更を伴う会則の改正は、既に入会した会員との関係においては改正条項が予定するところではなく、当該会員の個別的な承諾が必要である。
重要事実
上告会社が運営するゴルフ場の会員である被上告人らは、退会時に預託金(100万〜200万円)の返還を受ける約定で入会した。当初の会則では据置期間は5年であり、会則改正は理事会の決議による旨が定められていた。しかし、5年経過直前に理事会は、会則の改正条項に基づき、据置期間を10年に延長し、さらに経営上止むを得ない事情がある場合にも再延長を可能とする改正を行った。被上告人らはこの延長を承諾せず、当初の期間経過後に退会・返還を求めた。
あてはめ
本件ゴルフ場会員組織は、経営会社の意向に沿って運営され、独立した社団としての実体を持たない。したがって、会則は私契約の内容をなすところ、預託金返還請求権は会員の最も核心的な権利の一つである。会則改正条項が存在するとしても、このような重大な権利変更までを無制約に認める趣旨とは解されない。本件の改正は据置期間を倍増させ、かつ不確定な延長事由を追加するものであり、会員の権利を著しく損なう。そのため、被上告人らから個別的な承諾を得ていない以上、上告会社は改正による延長の効力を被上告人らに対して主張することはできない。
結論
据置期間延長の効力は被上告人らには及ばず、上告会社は当初の約定に基づき、預託金を返還する義務を負う。
実務上の射程
契約関係における「一方的な不利益変更」の可否が問われる場面で広く参照される。特に、多数の利害関係者が存在する定型的な契約(預託金制ゴルフ会員権やその他預託型サービス)において、一部の機関決定による「基本的な権利」の侵害を阻止する際のリーディングケースとなる。
事件番号: 平成10(オ)1116 / 裁判年月日: 平成12年3月9日 / 結論: 破棄自判
預託金会員制ゴルフクラブの会員がゴルフ場施設を利用した場合に発生すべき所定の施設利用料金の支払義務は、破産法五九条一項の未履行債務に当たらない。
事件番号: 平成10(オ)71 / 裁判年月日: 平成11年11月30日 / 結論: 破棄差戻
ゴルフ場経営会社がゴルフクラブの会員募集用のために作成したパンフレットにはゴルフ場に高級ホテルが併設されることが強調されており、右ゴルフクラブの入会金及び預託金の額は右パンフレットに記載されたゴルフ場の特徴に相応して高額になっていたが、実際にゴルフ場経営会社によって提供された施設はその規模や構造等において右パンフレット…