ゴルフ場経営会社がゴルフクラブの会員募集用のために作成したパンフレットにはゴルフ場に高級ホテルが併設されることが強調されており、右ゴルフクラブの入会金及び預託金の額は右パンフレットに記載されたゴルフ場の特徴に相応して高額になっていたが、実際にゴルフ場経営会社によって提供された施設はその規模や構造等において右パンフレットの記載には到底及ばないなど判示の事実関係の下においては、パンフレットに記載されたホテル等の施設を設置して会員の利用に供することがゴルフクラブ入会契約の債務の重要な部分を構成するか否かを判断するに当たり右事実関係を考慮することなく、ゴルフ場経営会社の債務不履行を理由とする会員からの解除を認めなかった原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法がある。
会員募集用パンフレットに記載されたホテル等の施設が設置されなかったことが債務不履行に当たるとして会員からされたゴルフクラブ入会契約の解除を認めなかった原審の判断に違法があるとされた事例
民法第3編第2章契約,民法541条
判旨
ゴルフ場の入会契約において、パンフレット等で強調された附帯施設の設置債務が契約の重要な部分を構成する場合、その不履行を理由とする解除が認められる。ゴルフプレーに直接関係のない施設であっても、契約締結の動機や対価性に照らし、債務の重要性を判断すべきである。
問題の所在(論点)
ゴルフプレーに直接必要不可欠とはいえない附帯施設(高級ホテル等)の設置債務の不履行が、ゴルフ場入会契約の「重要な部分」の不履行として解除事由に該当するか。
規範
ゴルフ場入会契約における債務の不履行が契約解除事由(民法541条)となるかは、当該債務が契約の重要な部分を構成するか否かによって決する。この判断にあたっては、募集パンフレット等での強調の程度、入会金・預託金の額との相応性、及び当該施設の欠如により契約の目的が達成できるか否かを総合的に考慮する。
重要事実
被上告人(ゴルフ場運営者)は、パンフレットで「高級ホテル併設」や「快適なリゾートライフ」を強調し、通常より高額な入会金・預託金を募って上告人と入会契約を締結した。しかし、実際には資金難から当初計画された高級ホテルやプール等の建設を中止し、小規模な代替施設を設置したのみで、ホテル部分の工事続行の具体的計画もない状態であった。上告人は、附帯施設の設置債務不履行を理由に契約解除と預託金等の返還を求めた。
あてはめ
本件パンフレットでは高級ホテルの存在が強調されており、上告人がこれを重視して契約した可能性が高い。また、入会金等がその特徴に相応して高額であることから、附帯施設の提供は対価関係の重要な一部をなすといえる。実際に提供された施設は当初の計画に到底及ばず、リゾートライフという契約目的を達成できない可能性がある。したがって、ゴルフプレーに直接関係がないことを理由に直ちに債務の重要性を否定することはできず、これらの事実を審理すべきである。
結論
ゴルフプレーに必要不可欠な施設か否かという基準のみで解除を否定した原審の判断には法令の解釈適用の誤りがある。債務の重要性について更に審理を尽くさせるため、原判決を破棄し差し戻す。
実務上の射程
契約の付随的債務か主たる債務かの区別において、表示(広告)の内容が契約の内容に取り込まれ、かつその不履行が契約目的の達成を阻害するかを重視する。特に会員制ビジネス等、施設利用の質が対価と結びつく事案で、単なる形式的なメイン機能(本件ではプレー)の可否だけでなく、付加価値部分の重要性を基礎づける際に活用できる。
事件番号: 平成11(受)1067 / 裁判年月日: 平成12年3月9日 / 結論: 破棄自判
一 破産宣告当時双務契約の当事者双方に未履行の債務が存在していても、契約を解除することによって相手方に著しく不公平な状況が生じるような場合には、破産管財人は破産法五九条一項に基づく解除権を行使することができない。 二 年会費の定めのある預託金会員制ゴルフクラブの会員が破産した場合において、破産管財人が会員契約を解除する…
事件番号: 平成10(オ)1116 / 裁判年月日: 平成12年3月9日 / 結論: 破棄自判
預託金会員制ゴルフクラブの会員がゴルフ場施設を利用した場合に発生すべき所定の施設利用料金の支払義務は、破産法五九条一項の未履行債務に当たらない。