郵政職員である公務員が新東京国際空港反対運動に参加し、兇器準備集合、公務執行妨害、火炎びんの使用等の処罰に関する法律違反、傷害の各犯罪行為を実行し、逮捕された行為は、国家公務員法九九条所定の信用失墜行為に該当するとともに同法八二条三号所定の非行に該当し、同条一号及び三号の懲戒事由にあたる。
当該公務員の職務と関連のない行為が国家公務員法八二条一号及び三号所定の懲戒事由にあたるとされた事例
国家公務員法82条1号,国家公務員法82条3号,国家公務員法99条
判旨
公務員の職務外の行為であっても、その性質、態様、社会に与えた影響等に照らし、公務に対する国民の信頼を損なう場合には、国家公務員法99条の信用失墜行為に該当し、同法82条の懲戒事由にあたる。
問題の所在(論点)
公務員の職務外の私生活上の行為、特に政治的反対運動に伴う犯罪行為が、国家公務員法99条の「信用を傷つけるような行為」および82条の懲戒事由に該当するか。
規範
公務員の職務と直接関連しない行為であっても、当該行為の性質、態様、および社会に与えた影響等を総合的に考慮し、公務の信用を傷つけ、または公務員職全体の中立性・信頼性を損なうと認められる場合には、国家公務員法99条所定の信用失墜行為にあたる。この場合、同法82条1号(法令違反)および3号(国民の信託に反する非行)の懲戒事由に該当する。
重要事実
国家公務員である上告人が、新東京国際空港(成田空港)の開港反対運動に参加し、兇器準備集合、公務執行妨害、火炎びんの使用等の処罰に関する法律違反、および傷害の各犯罪行為を実行して逮捕された。これに対し任命権者が懲戒処分を行ったため、上告人が職務外の行為であることを理由にその違法性を争った。
事件番号: 昭和59(行ツ)36 / 裁判年月日: 平成元年4月25日 / 結論: 棄却
一 地方公営企業労働関係法一一条一項は、同法附則四項により地方公営企業職員以外の単純な労務に雇用される一般職の地方公務員に準用される場合を含めて、憲法二八条に違反しない。 二 市の市長部局各部門、教育委員会で多数の職員が参加して約一時間の職場放棄を行い、市立の二病院で多数の職員が参加して二四時間の同盟罷業を行つたなどの…
あてはめ
上告人が行った兇器準備集合や火炎びんの使用等の犯罪行為は、法秩序を遵守すべき公務員としての立場に著しく反する。その性質は極めて悪質であり、公務執行妨害や傷害といった態様は公の秩序を乱すものである。このような重大な犯罪行為によって逮捕された事実は、社会に与えた影響も多大であり、公務に対する国民の信頼を著しく損なうものといえる。したがって、職務と直接関連しない反対運動の一環であっても、信用失墜行為および非行に該当すると評価される。
結論
本件行為は国家公務員法99条に違反し、同法82条1号および3号の懲戒事由にあたるため、本件懲戒処分は適法である。
実務上の射程
職務外の非違行為が懲戒事由となるかの判断基準(性質・態様・社会への影響)を示した重要な判決である。答案上は、私生活上の行為であっても「公務の社会的信用」を媒介に懲戒の対象となり得ることを論じる際に引用する。特に重大な刑事事件に関与したケースでは、本判例の枠組みに沿って当てはめることが求められる。
事件番号: 昭和51(行ツ)7 / 裁判年月日: 昭和53年7月18日 / 結論: 棄却
一 郵政職員が公共企業体等労働関係法一七条一項に違反する争議行為を行つた場合には、国家公務員法八二条の規定による懲戒処分の対象とされることを免れない。 二 郵政職員がいわゆる春闘の際に郵便局の職場全体で大規模にしかも当局の再三の警告を無視して業務阻害の結果を生ずるストライキを実施させるなどの違法行為を行つた判示の事実関…
事件番号: 昭和57(行ツ)131 / 裁判年月日: 昭和63年12月9日 / 結論: 棄却
地方公営企業労働関係法附則四項により地方公営企業職員以外の単純な労務に雇用される一般職の地方公務員に準用される同法一一条一項は、憲法二八条に違反しない。