実用新案登録を無効にする審決の取消請求を棄却する旨の原判決の基礎となつた口頭弁論の終結後に当該実用新案登録請求の範囲の記載の一部を訂正する審決がされた場合は、民訴法四二〇条一項八号の事由があり、上告理由とすることができる。
実用新案登録を無効にする審決の取消請求を棄却する旨の原判決の基礎となつた口頭弁論の終結後に当該実用新案登録請求の範囲の記載の一部を訂正する審決がされた場合と上告理由
実用新案法37条,実用新案法39条,民訴法394条,民訴法395条,民訴法420条1項8号
判旨
審決取消訴訟において、原判決の基礎となった特許庁の無効審決が、その後の訂正審決により変更された場合には、民訴法420条1項8号(現行338条1項8号)所定の再審事由があるものとして、原判決を破棄すべきである。
問題の所在(論点)
審決取消訴訟の原審判決後に、対象となった審決の前提となる権利内容を修正する訂正審決が確定した場合、原判決に民訴法上の再審事由(行政処分の変更)に準ずる違法があるといえるか。
規範
行政事件訴訟法7条に基づき準用される民事訴訟法338条1項8号(旧420条1項8号)に関し、判決の基礎となった行政処分が後の行政処分により変更された場合には、当該判決には「判決の基礎となった行政処分が後の行政処分により変更されたこと」に準ずる法令の違背がある。したがって、審決取消訴訟の対象たる審決が訂正審決により実質的に変更された場合、上告審は原判決を破棄し、差し戻すべきである。
重要事実
上告人は、実用新案登録を無効とした特許庁の審決(前審決)に対し、その取消しを求めて提訴したが、原審はその請求を棄却した。しかし、原審の口頭弁論終結後、上告人の訂正審判請求に基づき、実用新案登録請求の範囲を訂正することを認める旨の訂正審決がなされ、確定した。この訂正により、前審決の前提となった実用新案の内容が変更されることとなった。
あてはめ
本件では、原審が基礎とした前審決(無効審決)は、その後の訂正審決により登録請求の範囲が「電動送風機を収納し車輪を有する主体甲……」から「一対の車輪を有する主体甲……フイルター装置丙……結合面を車輪の前方に位置させる……」等へと詳細に訂正された。これにより、原判決の基礎となった行政処分(前審決)の内容が後の行政処分(訂正審決)によって実質的に変更されたといえる。これは民訴法上の再審事由に該当する事態であり、原判決の結果に影響を及ぼすことが明らかである。
結論
原判決を破棄し、訂正後の内容に基づき審理を尽くさせるため、本件を原審である東京高等裁判所に差し戻す。
実務上の射程
知的財産権訴訟(特に特許・実用新案)における「訂正の再審事由」に関するリーディングケースである。審決取消訴訟中に訂正審決が確定した場合、審理の対象が消滅・変更されるため、裁判所は自ら判断せず、原審へ差し戻して訂正後の発明に基づき改めて審理させるべきとする実務運用を確立した。
事件番号: 平成17(行ヒ)106 / 裁判年月日: 平成17年10月18日 / 結論: 破棄自判
(省略)
事件番号: 昭和58(行ツ)124 / 裁判年月日: 昭和60年5月28日
【結論(判旨の要点)】行政処分を基礎とする裁判において、その基礎となった処分が後の行政処分により変更された場合は、民事訴訟法上の再審事由(現行338条1項8号)に準ずる事由として、原判決に影響を及ぼす明らかな法令違背があるものと解される。 第1 事案の概要:実用新案登録請求の範囲の記載に基づき、当該実用新案登録を無効と…