公有水面埋立法(昭和四八年法律第八四号による改正前のもの)二条の埋立免許及び同法二二条の竣功認可の取消訴訟につき、当該公有水面の周辺の水面において漁業を営む権利を有するにすぎない者は、原告適格を有しない。
公有水面埋立法(昭和四八年法律第八四号による改正前のもの)二条の埋立免許及び同法二二条の竣功認可の取消訴訟と当該公有水面の周辺の水面において漁業を営む権利を有する者の原告適格
行政事件訴訟法9条,公有水面埋立法(昭和48年法律第84号による改正前のもの)2条,公有水面埋立法(昭和48年法律第84号による改正前のもの)22条
判旨
行政事件訴訟法9条1項にいう「法律上の利益」とは、処分の法的効果として自己の権利利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者の利益を指すが、これには行政法規が個人の利益を保護すべく行政権の行使に課した制約により保障される利益も含まれる。
問題の所在(論点)
公有水面埋立免許および竣功認可の取消訴訟において、当該水面の周辺で漁業を営む者に、行政事件訴訟法9条1項の「法律上の利益を有する者」としての原告適格が認められるか。
規範
取消訴訟の原告適格(行政事件訴訟法9条1項)が認められるためには、処分の法的効果により自己の権利利益を侵害され、又は必然的に侵害されるおそれがあることを要する。ここでいう権利利益は、処分の本来的効果として制限されるものに限らず、行政法規が個人の利益を保護することを目的として行政権の行使に制約を課していることにより保障されている利益も含まれる。右の制約は、明文の規定のみならず、法律の合理的解釈により当然に導かれるものも含む。
重要事実
参加人が火力発電所建設のため公有水面を埋め立てる計画を立て、漁業協同組合(E漁協)が総会決議により当該水面を漁業権から除外した。これに基づき、知事(被上告人)は参加人に対し公有水面埋立免許(旧埋立法2条)および竣功認可(同22条)を行った。これに対し、E漁協の組合員である上告人A1および、隣接するF漁協の組合員である上告人A2が、各処分の取消しを求めて提訴した。なお、漁業権変更の議決は、法令上の必要がない同意手続を欠くとしても有効であったと判断された。
事件番号: 令和4(行ヒ)92 / 裁判年月日: 令和4年12月8日 / 結論: 棄却
地方自治法255条の2第1項1号の規定による審査請求に対する裁決について、原処分をした執行機関の所属する行政主体である都道府県は、取消訴訟を提起する適格を有しない。
あてはめ
公有水面埋立免許および竣功認可は、埋立地の所有権取得等の効果を生じさせるものであり、当該水面に権利を有する者は直接に法的影響を受ける。しかし、本件上告人らは、有効な決議により漁業権から除外された水面、または隣接する水面において漁業を営む権利を有するにすぎない。旧公有水面埋立法には、周辺水面の漁業者の利益を保護することを目的として行政権の行使に制約を課す明文規定はなく、同法の合理的解釈からもそのような制約を導き出すことは困難である。したがって、周辺漁業者の利益は、同法が保護する法律上の利益には当たらない。
結論
上告人らは、本件免許または竣功認可の法的効果として権利利益を侵害される者とはいえず、原告適格を有しない。
実務上の射程
原告適格に関する「法律上保護された利益説」を確立した重要判例である。答案では、9条2項(平成16年改正)を踏まえた「法律の解釈」の前提として、本判決が示した「処分の本来的効果による侵害」と「行政法規の趣旨による保護」の二分論を枠組みとして提示すべきである。
事件番号: 昭和27(オ)1145 / 裁判年月日: 昭和29年11月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政事件訴訟における執行停止の要件等について、原審の判断を正当として上告を棄却したものである。 第1 事案の概要:上告人が、行政事件訴訟特例法(当時)2条但書の解釈等について不服を申し立て、原判決の破棄を求めて最高裁判所に上告した事案。 第2 問題の所在(論点):行政事件訴訟特例法2条但書の解釈お…
事件番号: 平成8(行ツ)271 / 裁判年月日: 平成10年12月17日 / 結論: 棄却
風俗営業等の規則及び業務の適正化等に関する法律施行令六条一号イの定める基準に従って規定された都道府県の条例所定の風俗営業制限地域に居住する者は、同地域内における風俗営業許可処分の取消しを求める原告適格を有しない。
事件番号: 平成8(行ツ)76 / 裁判年月日: 平成11年11月25日 / 結論: 棄却
都市計画事業の事業地の周辺地域に居住し又は通勤、通学しているが事業地内の不動産につき権利を有しない者は、都市計画法五九条二項に基づく同事業の認可処分又は同条三項に基づく同事業の承認処分の取消しを求める原告適格を有しない。
事件番号: 昭和57(行ツ)46 / 裁判年月日: 平成元年2月17日 / 結論: 棄却
定期航空運送事業免許に係る路線を航行する航空機の騒音によつて社会通念上著しい障害を受けることとなる飛行場周辺住民は、当該免許の取消しを訴求する原告適格を有する。