当初二〇日間の期間を定めて雇用しその後期間二箇月の労働契約を五回にわたり更新してきた臨時員に対し、使用者が契約期間満了による雇止めをした場合において、右臨時員が季節的労務や特定物の製作のような臨時的作業のために雇用されるものでなく景気変動に伴う受注の変動に応じて雇用量の調整を図る目的で雇用されるもので、その雇用関係はある程度の継続が期待されていたものであり、右雇止めの効力の判断に当たつては解雇に関する法理を類推すべきであつても、独立採算制がとられている工場において、事業上やむを得ない理由によりその人員を削減する必要があり、余剰人員を他の事業部門へ配置転換する余地もなく、工場の臨時員全員の雇止めが必要であるとした使用者の判断が合理性に欠ける点がないと認められるなど判示の事情があるときは、期間の定めなく雇用されている従業員につき希望退職者募集の方法による人員削減を図らないまま右臨時員の雇止めが行われたことをもつて当該雇止めを無効とすることはできない。
臨時員に対する雇止めにつき解雇に関する法理を類推すべき場合においてその雇止めが有効とされた事例
労働基準法14条,労働基準法21条
判旨
有期労働契約が反復更新され、継続が期待されていた場合、雇止めには解雇権濫用。の法理が類推適用されるが、その効力判断にあたっては、終身雇用が予定された正社員とは異なる合理的差異が認められる。
問題の所在(論点)
5回の更新を経て継続が期待されていた有期労働契約の雇止めについて、解雇権濫用法理が類推適用されるか。また、その場合の正社員の解雇との判断基準の差異が問題となる。
規範
期間の定めのある労働契約であっても、契約が反復更新されて雇用関係がある程度継続することを期待されていた場合、期間満了による雇止めの効力を判断するにあたっては、解雇に関する法理が類推される。具体的には、解雇権濫用法理を類推し、雇止めに客観的妥当な理由や社会通念上の相当性が認められない場合には、従前の契約が更新されたのと同様の法律関係が存続すると解すべきである。ただし、その判断基準は、いわゆる終身雇用の期待の下に期間の定めのない契約を締結した本工(正社員)を解雇する場合とはおのずから合理的な差異がある。
事件番号: 昭和45(オ)1175 / 裁判年月日: 昭和49年7月22日 / 結論: 棄却
電気機器等の製造販売を目的とする会社が、契約期間を二か月と記載してある臨時従業員としての労働契約書を取りかわして入社した臨時工に対し、五回ないし二三回にわたつて労働契約の更新を重ねたのちにいわゆる傭止めの意思表示をした場合において、右臨時工が景気の変動による需給にあわせて雇用量の調整をはかる必要から雇用された基幹臨時工…
重要事実
臨時員(上告人)は、景気変動に伴う雇用調整目的の制度下で、簡易な面接のみで採用された。2か月の契約期間が5回更新され、1年弱勤務していた。担当業務は比較的簡易な補助的作業であった。契約更新の手続きは、期間満了ごとに本人の意思を確認し、労働契約書に押印する形をとっていた。会社(被上告人)は独立採算制をとる工場において、事業上の不況から人員削減の必要が生じたため、臨時員全員を雇止めとした。この際、正社員に対する希望退職の募集などは行われなかった。
あてはめ
本件臨時員は5回の更新により一定の継続期待があるため、解雇権濫用法理の類推適用を受ける。しかし、採用手続の簡易性や業務内容の補助的性格に鑑みると、雇止めの正当性判断は正社員より緩和される。独立採算制の工場において事業上の人員削減の必要性がある場合、他の部門への配転余地がなく、臨時員全員を雇止めにする必要があれば、正社員の希望退職募集を先行させずとも、雇止めには合理的な理由がある。本件では、不況下での経営上の判断に合理性が認められ、雇止めは権利の濫用や信義則違反には当たらない。
結論
本件雇止めは有効であり、労働契約が更新されたのと同様の法律関係を認めることはできない。上告棄却。
実務上の射程
実務上、いわゆる「実質無期タイプ(雇用の継続が期待されるタイプ)」の雇止めに関するリーディングケース(現・労働契約法19条2号のモデル)である。正社員の解雇における整理解雇の4要件をそのまま適用するのではなく、臨時員の地位の不安定さに基づき、より緩やかな基準で正当性を認める点に実務上の意義がある。
事件番号: 平成27(受)589 / 裁判年月日: 平成28年12月1日 / 結論: その他
私立大学の教員に係る期間1年の有期労働契約は,①当該労働契約において,3年の更新限度期間の満了時に労働契約を期間の定めのないものとすることができるのは,これを希望する教員の勤務成績を考慮して当該大学を運営する学校法人が必要であると認めた場合である旨が明確に定められており,当該教員もこのことを十分に認識した上で当該労働契…
事件番号: 昭和42(オ)1005 / 裁判年月日: 昭和43年4月9日 / 結論: 棄却
不当労働行為にあたる解雇は無効である。
事件番号: 昭和62(オ)515 / 裁判年月日: 平成元年12月21日 / 結論: 棄却
ユニオン・ショップ協定のうち、締結組合以外の他の労働組合に加入している者及び締結組合から脱退し又は除名されたが他の労働組合に加入し又は新たな労働組合を結成した者について使用者の解雇義務を定める部分は、民法九〇条により無効である。