電気機器等の製造販売を目的とする会社が、契約期間を二か月と記載してある臨時従業員としての労働契約書を取りかわして入社した臨時工に対し、五回ないし二三回にわたつて労働契約の更新を重ねたのちにいわゆる傭止めの意思表示をした場合において、右臨時工が景気の変動による需給にあわせて雇用量の調整をはかる必要から雇用された基幹臨時工であつて、その従事する仕事の種類、内容の点において本工と差異はなく、その採用に際しては会社側に長期継続雇用、本工への登用を期待させるような言動があり、会社は必ずしも契約期間満了の都度直ちに新契約締結の手続をとつていたわけでもなく、また、従来基幹臨時工が二か月の期間満了によつて傭止めされた事例は見当たらず、自ら希望して退職するもののほか、そのほとんどが長期間にわたつて継続雇用されているなど判示の事情があるときは、右傭止めの効力の判断にあたつては、解雇に関する法理を類推すべきである。
臨時工に対するいわゆる傭止めの効力の判断にあたり解雇に関する法理を類推すべきであるとされた事例
労働基準法第2章
判旨
期間の定めのある労働契約が反復更新され、実質的に期間の定めのない契約と異ならない状態にある場合、期間満了を理由とする雇止めには解雇に関する法理が類推適用される。この場合、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない雇止めは、信義則上許されない。
問題の所在(論点)
期間の定めのある労働契約が反復更新された結果、実質的に期間の定めのない契約と異ならない状態に至っている場合において、期間満了を理由とする雇止めの効力はいかに解すべきか(解雇権濫用法理の類推適用の可否)。
規範
期間の定めのある労働契約であっても、期間の満了毎に当然更新を重ねて、あたかも期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態で存在している場合には、期間満了による雇止めの意思表示は、実質において解雇の意思表示にあたる。したがって、その効力の判断にあたっては解雇に関する法理を類推すべきであり、特段の事情がない限り、単なる期間満了を理由とする雇止めは信義則上許されない。
重要事実
上告会社(日立製作所)の基幹臨時工である被上告人らは、2か月の契約期間を5回から23回にわたり更新していた。基幹臨時工の仕事内容は本工と差異がなく、会社側も採用時に長期雇用や本工登用を期待させる言動をしていた。実際、基幹臨時工が期間満了で雇止めされた事例はなく、ほとんどが長期間継続雇用されていた。会社は今回、被上告人らに対し期間満了を理由に雇止めを通知した。
あてはめ
被上告人らは本工と同様の基幹業務に従事しており、多数回の更新を経て長期間継続雇用されていた。採用時の言動や実態から、当事者間に「格別の意思表示がなければ当然更新される」との共通認識があったといえる。そうであれば、本件契約は実質的に期間の定めのない契約と異ならない状態にあり、雇止めには解雇の法理が類推される。本件では、人員過剰による取扱い変更等の特段の事情や、就業規則上の解雇事由に該当する事実は認められない。
結論
本件雇止めは実質的な解雇にあたるところ、客観的合理性や社会的相当性を欠くため、信義則上その効力は否定される。
実務上の射程
労働契約法19条1号(実質無期タイプ)のリーディングケースである。答案では、①業務の客観的内容、②契約更新の回数・期間、③雇用の継続を期待させる言動等の事情を拾い、実質的に無期契約と「同視」できるかを論じる際に用いる。
事件番号: 昭和42(オ)1005 / 裁判年月日: 昭和43年4月9日 / 結論: 棄却
不当労働行為にあたる解雇は無効である。
事件番号: 昭和45(オ)982 / 裁判年月日: 昭和49年3月15日 / 結論: 棄却
会社の従業員が、いわゆるa事件に加担して、日本国とアメリカ合衆国との問の安全保障条約第三条に基く行政協定に伴う刑事特別法違反の罪により逮捕、起訴され、これが広く報道されたため、会社の社会的評価に悪影響があつたとしても、その犯行の動機、目的が破廉恥なものでなく、これに対する有罪判決の刑も罰金二〇〇〇円にとどまり、かつ、会…
事件番号: 昭和62(オ)515 / 裁判年月日: 平成元年12月21日 / 結論: 棄却
ユニオン・ショップ協定のうち、締結組合以外の他の労働組合に加入している者及び締結組合から脱退し又は除名されたが他の労働組合に加入し又は新たな労働組合を結成した者について使用者の解雇義務を定める部分は、民法九〇条により無効である。