否定(昭和三四年(オ)三二六号、同三六年三月七日第三小法廷判決・民集一五巻三号三六五頁参照)
いわゆる現地換地につき仮に権利の目的となるべき部分の指定を受けない従前の土地の賃借人の仮換地使用収益権
土地区画整理法98条1項,土地区画整理法99条1項3項
判旨
従前の土地の賃借権者は、土地区画整理法98条1項に基づく仮換地の指定を受けない限り当該土地を使用収益できず、仮換地が従前の土地と重複する場合であっても、同法99条3項により使用収益権を喪失する。
問題の所在(論点)
土地区画整理法に基づく仮換地の指定がなされた場合において、従前の土地の賃借権者が、同法98条1項による指定を受けずに仮換地を使用収益できるか。特に、仮換地が従前の土地と物理的に重複する場合に、従前の土地の権利に基づき使用収益権を維持できるかが問題となる。
規範
土地区画整理法98条1項に基づき、仮換地について使用収益を行うためには、施行者から当該権利の目的となる土地またはその部分の指定を受ける必要がある。この指定がない限り、従前の土地に賃借権を有する者であっても仮換地を使用収益することはできない。また、仮換地が従前の土地の一部に含まれる場合であっても、同法99条3項により、仮換地の指定を受けた者は、指定の効果として当該土地の従前の使用収益権限を喪失する。
重要事実
上告人は、従前の土地について賃借権を有していた。土地区画整理事業の施行に伴い仮換地が指定されたが、上告人は当該仮換地について同法98条1項に基づく使用収益の指定を受けていなかった。一方で、当該仮換地は物理的に従前の土地の範囲内に含まれていた。上告人は、自身が従前の土地の賃借権者であること、および仮換地が従前の土地内にあることを理由に、引き続き使用収益が可能であると主張した。
事件番号: 昭和33(オ)1063 / 裁判年月日: 昭和36年9月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】土地区画整理において、従前の宅地の一部に賃借権を有する者は、施行者による仮換地の指定を受けない限り、当然には仮換地を使用する権限を有しない。仮換地指定が従前の賃借地を含んでなされた場合であっても、土地区画整理法99条3項に基づき、賃借人はその効果として使用権限を取得することはない。 第1 事案の概…
あてはめ
土地区画整理事業における仮換地制度は、権利関係を仮換地に集約させるものである。法98条1項の指定を受けていない上告人は、仮換地に対する使用収益権を基礎づけることができない。また、たとえ仮換地が物理的に従前の土地の範囲内にあっても、法99条3項は仮換地の指定によって従前の土地の権利者の使用収益を停止させる趣旨である。したがって、上告人は指定の効果として当該部分の使用収益権を喪失しており、賃借権を対抗することはできないと評価される。
結論
上告人は仮換地を使用収益することができず、仮換地の指定を受けた被上告人ら(またはその承継人)に対して使用収益権を主張することはできない。
実務上の射程
仮換地指定の対物的な効力を認める射程は広く、物理的な重複があっても法の形式的指定が優先されることを強調する事案で活用できる。答案上は、賃借人の明渡し請求に対する反論や、使用収益権の有無が争点となる行政法・民事法の問題において、土地区画整理法99条の効力を論じる際の根拠となる。
事件番号: 昭和37(オ)445 / 裁判年月日: 昭和41年4月22日 / 結論: 棄却
借地権者が従前土地上に登記ある建物を所有している場合でも、借地権の申告に基づいて施行者が仮換地上に使用収益部分の指定をしなければ、仮換地上に使用収益権は生じない。
事件番号: 昭和38(オ)559 / 裁判年月日: 昭和41年1月18日 / 結論: 棄却
従前の土地の一部について賃借権を有する者は、土地区画整理の施行者から、特別都市計画法の下においては換地予定地について使用収益とすることのできる範囲の指定を、また、土地区画整理法の下においては仮換地について仮りに賃借権の目的となるべき宅地またはその部分の指定をうけなければ、土地所有者との関係においても、換地予定地または仮…