甲地のうち、乙地との境界の全部に接続する部分を乙地所有者丙が、残部分を丁がそれぞれ譲り受けた場合において、甲乙両地の境界に争いがあり、これを確定することによって初めて丙及び丁がそれぞれ取得した土地の範囲の特定が可能になるという事実関係の下においては、丙及び丁は、甲乙両地の境界確定の訴えの当事者適格を有する。
甲地のうち乙地との境界の全部に接続する部分を譲り受けた乙地所有者と残部分を譲り受けた者とが甲乙両地の境界確定の訴えの当事者適格を有するとされた事例
民訴法第1編第3章当事者,民訴法第2編第1章訴え
判旨
相隣接する土地の一方が分筆登記されないまま分割譲渡された場合でも、その境界確定によって譲受土地の範囲が特定される関係にあるときは、譲受人は境界確定の訴えの当事者適格を有する。
問題の所在(論点)
分筆登記が未了のまま土地が分割譲渡され、譲受人の一方が物理的には登記簿上の境界線に接していない場合、その譲受人に境界確定の訴えの当事者適格が認められるか。
規範
境界確定の訴えの当事者適格は、相隣接する土地の境界を確定することについて「最も密接な利害を有する者」に認められる。具体的には、土地の境界が不明な場合に、当該境界を確定することによって初めて自己が譲り受け、または所有する土地の範囲が特定される関係にある者は、たとえ登記上の境界に直接接していない部分の譲受人であっても、当事者適格を有する。
重要事実
1. 相隣接するd地とe地があり、d地の旧所有者Dは、d地を二分割して被上告人とE(上告人らの被相続人)にそれぞれ譲渡した。 2. Eが譲り受けた土地はd地とe地の境界(本件境界)の全部に接続していたが、被上告人が譲り受けた土地は本件境界に直接は接続していなかった。 3. d地は分筆登記がされないまま、被上告人がd地全筆について所有権移転登記を受けた。 4. 上告人ら(e地およびd地の一部譲受人の相続人)と被上告人との間で本件境界に争いがあり、この境界を確定しなければ、各自が取得した土地の範囲を特定できない状況にあった。
事件番号: 昭和41(オ)118 / 裁判年月日: 昭和42年12月26日 / 結論: 破棄差戻
隣接土地所有者間に境界についての合意が成立したことのみによつて、右合意のとおりの境界を確定することは許されない。
あてはめ
1. 境界確定の訴えは、公簿上の地番で表示される隣接地の境界を裁判で定めるものである。 2. 本件では、被上告人と上告人ら(Eの相続人)は、共にd地の旧所有者から分割譲渡を受けた者同士であり、本件境界を確定することで初めて各自の取得土地の範囲が特定される関係にある。 3. したがって、被上告人は本件境界の確定について「最も密接な利害を有する者」に当たり、物理的に境界に接していない部分の譲受人であっても、当事者適格が認められる。
結論
被上告人は本件境界確定の訴えについて当事者適格を有する。したがって、被上告人の訴えを適法とした原審の判断は正当である。
実務上の射程
境界確定の訴えの当事者適格が、単なる形式的な登記名義人や直接の隣接所有者に限定されず、境界確定によって自己の権利範囲が特定される実質的な利害関係人にまで及ぶことを示した。実務上、分筆前の譲受人や時効取得者が関与する境界紛争において、訴訟担当者の範囲を画定する基準となる。
事件番号: 平成9(オ)873 / 裁判年月日: 平成11年11月9日 / 結論: 棄却
土地の共有者のうちに境界確定の訴えを提起することに同調しない者がいる場合には、その余の共有者は、隣接する土地の所有者と訴えを提起することに同調しない者とを被告にして右の訴えを提起することができる。 (補足意見がある。)