土地の共有者のうちに境界確定の訴えを提起することに同調しない者がいる場合には、その余の共有者は、隣接する土地の所有者と訴えを提起することに同調しない者とを被告にして右の訴えを提起することができる。 (補足意見がある。)
土地の共有者のうちに境界確定の訴えを提起することに同調しない者がいる場合にその余の共有者が右の者を被告にして右の訴えを提起することの許否
民法251条,民訴法40条,民訴法第1編第3章当事者,民訴法第2編第1章訴え
判旨
境界確定の訴えにおいて共有者のうちに提訴に同調しない者がいる場合、他の共有者は、隣接地の所有者と共に当該非同調者を被告として訴えを提起できる。この際、共有者全員が原告または被告として関与していれば、境界を合一に確定するという訴訟目的を達することができる。
問題の所在(論点)
数人の共有に属する土地の境界確定の訴えにおいて、提訴に同調しない共有者がいる場合、他の共有者は当該共有者を被告に含めることで、固有必要的共同訴訟としての当事者適格(訴訟受継・追遂権)を充足させることができるか。
規範
境界確定の訴えは、共有者全員につき判決の効力を及ぼすべきものであるから、原則として共有者全員が共同してのみ訴え、または訴えられることを要する固有必要的共同訴訟である。しかし、共有者全員が必ずしも原告として共同歩調をとる必要はなく、全員が原告または被告のいずれかの立場で当事者として訴訟に関与していれば足りる。なお、一部の共有者が被告となった場合でも、上訴の提起は民訴法40条2項等の類推適用により共有者全員に効力を生じ、合一に確定される。
重要事実
本件土地を4分の1ずつの持分で相続した被上告人らは、遺産分割審判の前提として隣接する上告人所有地との境界確定を必要とした。しかし、共有者の一人である被上告人B1が提訴に同調しなかったため、他の共有者ら(被上告人B2ら)は、隣地所有者である上告人および非同調共有者であるB1の両名を被告として境界確定の訴えを提起した。上告人は、本件訴えは共有者全員が原告となるべきであり不適法であると主張した。
あてはめ
境界確定の訴えは、裁判所が当事者の主張に拘束されず正当な境界を定める非訟的な性質を有し、所有権の範囲を画定するものである。本件では、非同調者B1を被告に加えることで共有者全員が当事者となっており、合一確定の要請は満たされる。B1が原告に加わらなくとも、全員が訴訟に関与していれば手続上の支障はなく、むしろこれを認めなければ境界が確定できず共有者の利益を害する。したがって、B1を被告とすることは適法であり、上訴の際もB1は被控訴人としての地位に立つため、全員の間で境界を確定できる。
結論
共有者のうちに提訴に同調しない者がいる場合でも、その者を被告に含めて提起された境界確定の訴えは適法である。したがって、本件訴えを適法とした原審の判断は正当である。
実務上の射程
固有必要的共同訴訟において「原告になるべき者が協力しない場合」の例外を認めた重要判例。ただし、補足意見が指摘するように、本判決は境界確定の訴えの非訟的性格(職権探知主義的側面)を根拠とする「便法」であり、他の必要的共同訴訟(共有権に基づく明渡請求の反訴等)に当然に射程が及ぶものではない点に注意が必要。
事件番号: 昭和57(オ)875 / 裁判年月日: 昭和59年2月16日 / 結論: 棄却
公簿上相隣接する二筆の土地の所有名義人間における境界確定を求める訴えにおいて、右両土地の中間に第三者所有の土地が介在しているときは、右訴えは、当事者適格を欠く不適法な訴えとなるものと解すべきである。
事件番号: 平成9(オ)104 / 裁判年月日: 平成11年2月26日 / 結論: 棄却
甲地のうち、乙地との境界の全部に接続する部分を乙地所有者丙が、残部分を丁がそれぞれ譲り受けた場合において、甲乙両地の境界に争いがあり、これを確定することによって初めて丙及び丁がそれぞれ取得した土地の範囲の特定が可能になるという事実関係の下においては、丙及び丁は、甲乙両地の境界確定の訴えの当事者適格を有する。