役員に対する退職給与として法人の固定資産である土地をその帳簿価額である二五〇〇万円で現物支給し、右金額について損金経理をしたが、右土地の支給時における適正な価額は少なくとも一億六〇五三万四三六〇円を下るものではなかったという事実関係の下においては、右土地の支給時における適正な価額と帳簿価額との差額は、法人税法三六条にいう「損金経理をしなかった金額」に該当する。
役員退職給与として土地を帳簿価額で現物支給した場合において適正な価額との差額が法人税法三六条にいう「損金経理をしなかった金額」に該当するとされた事例
法人税法36条
判旨
役員退職給与として法人の固定資産を譲渡した場合、その譲渡時における適正な価額と帳簿価額との差額は、法人税法(昭和55年法律第26号による改正前)36条にいう損金経理をしなかった金額に該当する。
問題の所在(論点)
役員退職給与を現物支給(資産譲渡)の形式で行った場合、適正価額と帳簿価額との差額は、旧法人税法36条(現34条1項に類する規定)にいう「損金経理をしなかった金額」に該当し、損金算入が否定されるか。
規範
法人が役員退職給与として資産を譲渡した際、その資産の譲渡時における適正な価額が帳簿価額を上回る場合、その差額分については、確定した決算において費用または損失として経理(損金経理)されていない限り、同法36条の規定により損金の額に算入することはできない。
重要事実
上告人(法人)は、退職した役員に対する退職給与の支給として、固定資産である土地を帳簿価額である2500万円で譲渡した。上告人は当該事業年度の確定した決算において、帳簿価額に基づき2500万円を退職給与として経理した。しかし、当該土地の譲渡時における適正な価額は少なくとも1億6053万4360円であった。
事件番号: 昭和49(行ツ)28 / 裁判年月日: 昭和50年2月25日 / 結論: 棄却
資産の延払条件付譲渡に係る確定決算の経理が、翌事業年度に計上すべき賦払金を係争事業年度の収益に計上した点において、法定の延払基準の方法に従つたものでないときは、右違法な部分のみを除外して延払経理による課税の特例の適用を認めることはできない。
あてはめ
本件において、土地の譲渡時の適正価額(約1億6053万円)と帳簿価額(2500万円)との間には顕著な差額が存在する。上告人は、確定した決算において帳簿価額である2500万円のみを退職給与として経理しており、上記差額分については何ら費用として計上していない。したがって、この差額分は法人が「損金経理をしなかった金額」に該当すると評価される。
結論
土地の適正価額と帳簿価額との差額は、損金経理をしなかった金額に該当するため、損金の額に算入することはできない。
実務上の射程
役員給与の損金算入において、損金経理要件(旧36条、現行法では事前確定届出給与等の要件に包含)の厳格性を認めた事例。現物支給時の時価評価と経理処理の一致が損金算入の前提となることを示す。
事件番号: 平成12(行ヒ)133 / 裁判年月日: 平成18年1月24日 / 結論: その他
映画に投資を行う名目で結成された民法上の組合が,借入金及び組合員の出資金を原資として当該映画を購入する旨の契約を締結すると同時に,当該映画の配給権を配給会社に付与する旨の配給契約を締結した場合において,当該配給契約により当該映画に関する権利のほとんどが配給会社に移転され,当該組合は実質的には当該映画についての使用収益権…
事件番号: 平成16(行ヒ)326 / 裁判年月日: 平成18年2月23日 / 結論: 破棄自判
我が国の銀行が,本来は外国法人が負担すべき外国法人税(外国の法令により課される法人税に相当する税)について対価を得て引き受ける取引を行い,同取引に基づいて同銀行が負担した外国法人税が上記対価を上回るため,同取引自体によっては損失を生ずるが,上記外国法人税の負担を自己の外国税額控除の余裕枠を利用して国内で納付すべき法人税…
事件番号: 平成18(行ヒ)234 / 裁判年月日: 平成20年9月16日 / 結論: 棄却
PHS(簡易型携帯電話)事業者が大量に保有し事業の用に供したエントランス回線利用権につき,それが1回線に係る権利一つを1単位として取引されており,1回線に係る権利一つでもって,上記事業においてその用途に応じた本来の機能を発揮し収益の獲得に寄与することができるなど判示の事実関係の下では,上記利用権は,1回線に係る権利をも…
事件番号: 平成16(行ヒ)128 / 裁判年月日: 平成18年1月24日 / 結論: 破棄差戻
甲社の唯一の株主であるX社が,甲社にその発行済株式総数の15倍の新株を著しく有利な価額で関連会社乙社に割り当てる発行をさせ,X社の甲社に対する持株割合を16分の1に減少させ,乙社の甲社に対する持株割合を16分の15とすることにより,X社の保有する甲社株式に表章された資産価値の相当部分(甲社の増資前の資産価値と増資後の資…