資産の延払条件付譲渡に係る確定決算の経理が、翌事業年度に計上すべき賦払金を係争事業年度の収益に計上した点において、法定の延払基準の方法に従つたものでないときは、右違法な部分のみを除外して延払経理による課税の特例の適用を認めることはできない。
延払条件付譲渡に係る経理の一部が法定の延払基準の方法に従つていない場合と延払経理による課税の特例の適用
法人税法(昭和42年法律第21号による改正前のもの)63条,法人税法施行令124条
判旨
役員退職給与の損金算入限度額を超過する部分は不相当に高額として否認される。また、延払基準の特例適用には、確定決算における適正な経理処理および法定明細書の添付が要件であり、これらを欠く場合に「やむを得ない事情」がない限り特例は適用されない。
問題の所在(論点)
1. 役員退職給与の過大判定の妥当性。 2. 経理処理が一部不適正である場合に延払基準の特例適用の可否。 3. 法定明細書の添付を欠く場合に「やむを得ない事情」が認められるか。
規範
1. 役員退職給与のうち「不相当に高額」と認められる金額は、法人税法上の損金の額に算入されない。 2. 延払条件付譲渡の収益計上に関する特例(延払基準)の適用を受けるためには、確定決算において法定の延払基準に従った適正な経理処理がなされていること、および確定申告書に法定の明細書を添付していることが要件となる。 3. 明細書の添付を欠く場合に特例が認められるには、その欠如について「やむを得ない事情」が必要である。
重要事実
上告人(納税者)は、役員退職給与を支払ったが、その一部(480万円を超える部分)について税務当局から不相当に高額であるとして損金算入を否認された。また、上告人は延払条件付譲渡を行った際、本来翌事業年度に計上すべき賦払金を当該事業年度の収益に計上するという、法定の延払基準とは異なる経理処理を行った。さらに、確定申告に際して法定の明細書を添付していなかった。
事件番号: 昭和47(行ツ)48 / 裁判年月日: 昭和51年2月26日 / 結論: 棄却
法人税法(昭和四五年法律第三七号による改正前のもの)二条一〇号イないしハに規定する同族会社の要件のいずれかに該当する同族会社の同族判定株主である使用人兼務役員は、すべて同法三五条二項の使用人兼務役員から除外されると解するのが相当である。
あてはめ
1. 退職給与については、原審が認定した480万円という基準に照らし、これを超える部分は社会通念上不相当に高額であると判断される。 2. 収益計上時期の誤りは法定の延払基準の手続きを逸脱するものであり、違法な部分を除外して特例を適用することは認められない。 3. 明細書の不添付についても、特例の適用要件を充足せず、記録上これを正当化する客観的な「やむを得ない事情」は存在しないと評価される。
結論
役員退職給与の過大部分の損金算入は認められず、また経理不備および明細書不添付により延払基準の特例適用も否定される。本件上告は棄却される。
実務上の射程
役員給与の過大判定における事実認定の重要性を示すとともに、税法上の「特例」を享受するためには、手続的要件(適正な経理処理・書類添付)を厳格に遵守すべきであることを強調する射程を持つ。答案上は、法人税法34条(役員給与)や延払基準等の手続規定の解釈において、形式的要件の遵守の必要性を論じる際の根拠となる。
事件番号: 昭和40(行ツ)107 / 裁判年月日: 昭和43年10月17日 / 結論: 棄却
法人が横領行為によつて損害を被つた場合には、その損害額を損金に計上するとともに、これによる損害賠償請求権を益金に計上したうえ、右請求権が債務者の無資力その他の事由によつて実現不能が明白となつたときに至つて、これをその年度の損金とするのが、法人所得の計算上相当である。
事件番号: 平成8(行ツ)138 / 裁判年月日: 平成10年6月12日 / 結論: 棄却
役員に対する退職給与として法人の固定資産である土地をその帳簿価額である二五〇〇万円で現物支給し、右金額について損金経理をしたが、右土地の支給時における適正な価額は少なくとも一億六〇五三万四三六〇円を下るものではなかったという事実関係の下においては、右土地の支給時における適正な価額と帳簿価額との差額は、法人税法三六条にい…
事件番号: 昭和43(行ツ)61 / 裁判年月日: 昭和47年12月5日 / 結論: 棄却
一、法人税青色申告についてした更正処分の通知書に、係争事業年度所得の更正の理由として、「営業譲渡補償金計上もれ一一五五万円」、「認定利息(代表者)計上もれ一万九八三九円」、清算所得の更正の理由として、「代表者仮払金三九万六八九〇円」、「営業譲渡補償金九〇五万円」と記載されているにすぎない場合には、いずれも理由附記として…
事件番号: 昭和35(オ)180 / 裁判年月日: 昭和36年12月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】役員報酬の損金算入の適否を判断するにあたっては、役員の勤務実態、類似営業を行う法人の報酬水準、および会社規模等を総合的に勘案し、客観的な妥当性に基づいて決定すべきである。 第1 事案の概要:上告会社(資本金100万円以下)は、代表取締役Dに対し報酬を支払っていた。京橋税務署長は、Dの実際の勤務状態…