PHS(簡易型携帯電話)事業者が大量に保有し事業の用に供したエントランス回線利用権につき,それが1回線に係る権利一つを1単位として取引されており,1回線に係る権利一つでもって,上記事業においてその用途に応じた本来の機能を発揮し収益の獲得に寄与することができるなど判示の事実関係の下では,上記利用権は,1回線に係る権利をもって一つの減価償却資産とみるのが相当であり,それが10万円未満の価格で取得された以上,法人税法施行令(平成16年政令第101号による改正前のもの)133条所定の少額減価償却資産に当たる。 ※エントランス回線:PHS事業者の設置する基地局と電気通信事業者Aの設置するPHS接続装置とを接続するAの有線伝送路設備 ※エントランス回線利用権:PHS事業者が,エントランス回線を利用して,基地局のエリア内でPHS端末を用いて行われる通話等に関し,電気通信事業者AをしてPHS利用者に対しAのネットワークによる電気通信役務を提供させる権利
PHS事業者が事業の用に供したエントランス回線利用権につき,1回線に係る権利が,それぞれ一つの減価償却資産であり,法人税法施行令(平成16年政令第101号による改正前のもの)133条所定の少額減価償却資産に当たるとされた事例
法人税法(平成13年法律第6号による改正前のもの)2条24号,法人税法2条23号,法人税法31条1項,法人税法施行令(平成16年政令第101号による改正前のもの)13条8号ソ,法人税法施行令(平成16年政令第101号による改正前のもの)133条
判旨
法人税法施行令133条の少額減価償却資産の判定単位は、個々の資産が事業の用に供され、その用途に応じた本来の機能を発揮して収益獲得に寄与し得る最小単位によるべきである。エントランス回線利用権は、1回線ごとに基地局と接続装置を相互接続し通話を可能にする機能を有するため、1回線を1単位として判定するのが相当である。
問題の所在(論点)
法人税法施行令133条の「少額減価償却資産」の判定基準において、複数の同種資産が取得された場合、その判定単位をどのように解すべきか。特に、1回線ごとに機能を発揮する電気通信施設利用権の単位性が問題となる。
規範
法人税法施行令133条(平成16年改正前)にいう少額減価償却資産(取得価額10万円未満)に該当するか否かの判定は、個々の減価償却資産を単位として行う。減価償却資産は、法人の事業に供され、その用途に応じた本来の機能を発揮することで収益の獲得に寄与するものであるから、その判定単位は、当該資産が単独でその本来の機能を発揮し得る最小の単位、および取引上の実態を考慮して決定すべきである。
事件番号: 平成12(行ヒ)133 / 裁判年月日: 平成18年1月24日 / 結論: その他
映画に投資を行う名目で結成された民法上の組合が,借入金及び組合員の出資金を原資として当該映画を購入する旨の契約を締結すると同時に,当該映画の配給権を配給会社に付与する旨の配給契約を締結した場合において,当該配給契約により当該映画に関する権利のほとんどが配給会社に移転され,当該組合は実質的には当該映画についての使用収益権…
重要事実
PHS事業者である被上告人は、B社の設置する「エントランス回線」を利用する権利(本件権利)を1回線あたり7万2800円で取得した。エントランス回線は1回線あれば、当該基地局エリア内のPHS端末と他の電話網との双方向通話が可能となる。被上告人はこの権利を15万回線分以上、総額約111億円で取得したが、1回線ごとの取得価額が10万円未満であることを理由に、少額減価償却資産として各事業年度の損金に算入した。これに対し課税当局は、PHS事業全体として機能するものであるから1回線単位での判定は不当であるとして更正処分を行った。
あてはめ
本件権利の用途に応じた本来の機能は、特定の基地局と接続装置を相互接続し、PHS利用者への通信役務提供を可能にすることにある。事実によれば、エントランス回線が1回線あれば特定のエリア内での双方向通話が可能となるため、本件権利は1回線ごとにその本来の機能を発揮し、収益獲得に寄与し得る。また、本件接続約款においても、本件権利は1回線を1単位として取引されている実態がある。したがって、事業全体としての収益性を基準とするのではなく、機能を発揮する最小単位である「1回線」を1つの減価償却資産とみるのが相当である。
結論
本件権利はエントランス回線1回線ごとに1つの減価償却資産にあたり、その取得価額は7万2800円であるから、法人税法施行令133条所定の少額減価償却資産に該当する。
実務上の射程
減価償却資産の単位性に関するリーディングケースである。答案上は、大量の同種資産が導入された場合でも「個別に機能を発揮できるか」という機能的独立性と「取引の実態」を基準に、1個ずつの判定が可能であることを論証する際に用いる。単なる物理的単位ではなく、事業上の機能単位に着目する点が重要である。
事件番号: 平成8(行ツ)138 / 裁判年月日: 平成10年6月12日 / 結論: 棄却
役員に対する退職給与として法人の固定資産である土地をその帳簿価額である二五〇〇万円で現物支給し、右金額について損金経理をしたが、右土地の支給時における適正な価額は少なくとも一億六〇五三万四三六〇円を下るものではなかったという事実関係の下においては、右土地の支給時における適正な価額と帳簿価額との差額は、法人税法三六条にい…
事件番号: 令和2(行ヒ)303 / 裁判年月日: 令和4年4月21日 / 結論: 棄却
1 法人税法132条1項にいう「これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」とは、同項各号に掲げる法人である同族会社等の行為又は計算のうち、経済的かつ実質的な見地において不自然、不合理なもの、すなわち経済的合理性を欠くものであって、法人税の負担を減少させる結果となるものをいう。 2 …
事件番号: 昭和50(行ツ)82 / 裁判年月日: 昭和51年7月13日 / 結論: 棄却
一、営業権とは、当該企業の長年にわたる伝統と社会的信用、立地条件、特殊の製造技術及び特殊の取引関係の存在並びにそれらの独占性等を総合した、他の企業を上回る企業収益を稼得することができる無形の財産的価値を有する事実関係である。 二、省略
事件番号: 平成14(行ヒ)147 / 裁判年月日: 平成16年12月24日 / 結論: 破棄自判
1 法人の各事業年度の所得の金額の計算において,金銭債権の貸倒損失を法人税法22条3項3号にいう「当該事業年度の損失の額」として当該事業年度の損金の額に算入するためには,当該金銭債権の全額が回収不能であることが客観的に明らかでなければならず,そのことは,債務者の資産状況,支払能力等の債務者側の事情のみならず,債権回収に…