恩給法七二条一項にいう「配偶者」は、法律上の婚姻関係にある者に限られる。
恩給法七二条一項にいう「配偶者」の意義
恩給法72条1項
判旨
恩給法72条1項にいう「配偶者」とは、公務員と法律上の婚姻関係にある者に限られ、婚姻の届出をしていない事実婚の者は含まれない。
問題の所在(論点)
恩給法72条1項にいう「配偶者」に、婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者(事実婚の配偶者)が含まれるか。
規範
社会保障法制の各法律における「配偶者」の意義については、当該法律の規定の文言および趣旨に照らして判断すべきである。特に、法律上の婚姻関係にある者に加えて事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む場合には、その旨の明文の規定が存在することを要する。
重要事実
上告人は、公務員であった者と事実上の婚姻関係にあったが、婚姻の届出はしていなかった。上告人は、恩給法72条1項に基づき遺族扶助料等の受給権を主張したが、法律上の配偶者ではないことを理由に認められなかったため、その解釈を争って上告した。
あてはめ
恩給法72条1項の規定を確認すると、厚生年金保険法3条2項や国家公務員等共済組合法2条1項2号イ等の規定とは異なり、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む旨の明文の定めが存在しない。したがって、文言を厳格に解釈すべきであり、他の社会保障関係法令のような拡張的な解釈を採ることはできない。
結論
恩給法72条1項の「配偶者」は、法律上の婚姻関係にある者に限られる。したがって、事実婚の関係にあった上告人は同条の「配偶者」に該当しない。
実務上の射程
本判決は、法律用語としての「配偶者」が当然に事実婚を含むものではなく、個別の法律の規定(特に事実婚を含む旨の別段の定め)の有無によってその範囲が画定されることを示した。答案上は、社会保障法や家族法に関連する論点において、明文規定のない場合に事実婚を法律婚と同視することの可否を検討する際の比較材料として活用できる。
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