市がその商工業の進展を図るために職員を地元の商工会議所に専務理事として派遣して派遣期間中の給与を支給した場合において、商工会議所の実際の業務内容、右業務内容と市の商工業の振興策との関連性、派遣職員の商工会議所における具体的な職務内容、右職務内容と右振興策との関係等について具体的な認定をした上、右行政目的の達成のために当該派遣をすることの公益上の必要性を検討して、派遣職員に対する職務専念義務の免除が地方公務員法三〇条、三五条の、茅ヶ崎市一般職員の給与に関する条例(昭和二六年茅ヶ崎市条例第七四号)一一条前段に定める勤務しないことについての承認が同法二四条一項の各趣旨に違反しないかどうかを審理判断することなく、商工会議所と市の置かれていた一般的状況、商工会議所の法的性質、派遣職員が就いた役職の一般的職務権限等の事実のみをもって派遣職員に対する給与支出の適法性を肯定した原審の認定判断には、違法がある。
商工会議所に派遣された市の職員に対する給与支出の適法性を肯定した原審の認定判断に違法があるとされた事例
地方公務員法24条1項,地方公務員法30条,地方公務員法35条,商工会議所法6条茅ヶ崎市一般職員の給与に関する条例(昭和26年茅ヶ崎市条例74号)11条,茅ヶ崎市職員の職務に専念する業務の特例に関する条例(昭和26年茅ヶ崎市条例61号)2条
判旨
地方公共団体が職員を公益法人等へ派遣し、職務専念義務を免除した上で給与を支給する場合、その適法性は派遣の目的、法人の性格、具体的職務内容、期間、人数等を総合考慮し、公益上の必要性と照らして慎重に判断すべきである。
問題の所在(論点)
地方公共団体の職員を外部団体へ派遣し、職務に従事していない期間の給与を全額支給する措置が、地方公務員法24条1項(給与の根本基準)や35条(職務専念義務)の趣旨に照らし、裁量権の逸脱・濫用として違法となるか。
規範
職務専念義務の免除(地公法35条)や勤務しないことの承認(給与条例)は、処分権者の全く自由な裁量に属するものではない。これらが服務の根本基準(同法30条)や給与の根本基準(同法24条1項)の趣旨に反する場合は違法となる。適法性の判断にあたっては、①派遣の目的、②派遣先の性格及び具体的事業内容、③派遣職員が従事する職務内容、④派遣期間、⑤派遣人数等の諸般の事情を総合考慮し、行政目的達成のための公益上の必要性に照らして、各条項の趣旨に反しないかを慎重に検討すべきである。
重要事実
市長Bは、商工業活性化のため、茅ケ崎商工会議所と協定を締結し、市の常勤職員を同会議所の専務理事として派遣(本件派遣)した。派遣期間は約7ヶ月間で、その間、職員は市の政策会議への出席を除き会議所で勤務していた。市は、職務専念義務を免除した上で、給与条例に基づき給与全額(約541万円)を支給した。住民らは、この給与支出が違法であるとして損害賠償等を求めた。
あてはめ
原審は、会議所の公共的性格や商工業振興という目的のみから直ちに裁量の範囲内としたが、本件では以下の検討が不足している。まず、会議所の実際の業務内容が市の振興策とどう関連していたか、次に、派遣職員の専務理事としての具体的職務が市の企図する施策とどう結びついていたか、という具体的関連性を明らかにすべきである。これらの具体的実態に基づき、本件派遣による公益上の必要性を検討しなければ、職務専念義務免除及び給与支給の適法性を判断することはできない。
結論
本件給与支出の適法性を肯定した原審の判断には審理不尽・理由不備の違法があるため、破棄し差し戻す。
実務上の射程
地方公務員の「派遣」に伴う給与支給の適法性に関するリーディングケース。公金支出の適正性が厳格に問われる場面であり、単なる「公益性・目的の正当性」の抽象的認定では足りず、具体的な職務実態と行政目的との関連性まで踏み込んだ立証・認定が必要となる。
事件番号: 平成14(行ヒ)144 / 裁判年月日: 平成17年10月28日 / 結論: 破棄自判
1 町の豊かな自然を生かし,住民に農業に親しむ機会を与えるなどの目的で設置された農林漁業体験実習施設,食堂等から成る公の施設の管理及び運営の事業を行うため,町により設立された権利能力のない社団が,町から委託を受けて専ら上記施設の管理及び運営に当たっていたこと,上記社団は,その運営収支の赤字を補てんするため町から毎年補助…
事件番号: 平成13(行ヒ)266 / 裁判年月日: 平成16年1月15日 / 結論: その他
1 県が,職務専念義務の免除をするとともに勤務しないことの承認をして,いわゆる第3セクター方式により設立された株式会社に県職員を派遣し,その給与を支出した場合において,上記派遣が,同社に事業収入がなく,同社が十分な人材を確保していないことを考慮して行われたこと,同社の事業内容は遊園施設等の経営であったこと,派遣職員が従…