一 東京都議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区における議員の数に関する条例(昭和四四年東京都条例第五五号)が、平成五年六月二七日施行の東京都議会議員選挙当時、千代田区選挙区をいわゆる特例選挙区として存置していたことは、適法である。 二 東京都議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区における議員の数に関する条例(昭和四四年東京都条例第五五号)の議員定数配分規定は、平成五年六月二七日施行の東京都議会議員選挙当時、公職選挙法(平成六年法律第二号による改正前のもの)一五条七項に違反していたものとはいえない。
一 東京都議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区における議員の数に関する条例(昭和四四年東京都条例第五五号)におけるいわゆる特例選挙区の存置の適法性 二 東京都議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区における議員の数に関する条例(昭和四四年東京都条例第五五号)の議員定数配分規定の適法性
公職選挙法15条1項,公職選挙法15条2項,公職選挙法271条2項,公職選挙法(平成6年法律第2号による改正前のもの)15条7項,東京都議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区における議員の数に関する条例(昭和44年東京都条例第55号)2条,東京都議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区における議員の数に関する条例(昭和44年東京都条例第55号)3条
判旨
都道府県議会議員選挙の定数配分規定において、特例選挙区の設置や定数配分が都道府県議会の合理的裁量の範囲内であれば、公職選挙法15条7項に違反せず適法である。具体的には、配当基数が0.5を著しく下回る場合を除き、地域代表性の確保等の政策的判断に基づく存置は裁量の範囲内とされる。
問題の所在(論点)
都道府県議会議員の選挙において、人口減少地域を独立の選挙区とする「特例選挙区」の存置およびそれに伴う投票価値の不平等が、公職選挙法15条7項の人口比例原則や憲法上の投票価値の平等に反し、裁量権の限界を超えて違法となるか。
規範
1. 特例選挙区の設置(公選法271条2項)の適否は、地域代表確保の必要性や合区の困難性を総合判断する都道府県議会の合理的裁量に委ねられる。ただし、配当基数が0.5を著しく下回る場合は裁量の限界を超えたものと推定される。 2. 定数配分(15条7項)は人口比例を基本とするが、地域間の均衡を考慮する裁量がある。不平等が、諸般の要素を斟酌しても一般的に合理性を有しない程度に達したときは裁量の限界を超え、正当化すべき特別の理由がない限り違法となる。
重要事実
平成5年の東京都議会議員選挙に関し、千代田区選挙区が特例選挙区として存置されたこと等の適法性が争われた。当時の千代田区の配当基数は0.426であり、議員1人あたりの人口最大較差は1対3.52(千代田区対武蔵野市)であった。都議会は検討委員会を設置し、千代田区の政治・経済的中枢としての歴史的意義や地域代表の必要性を考慮して存置を決定していた。
あてはめ
1. 特例選挙区について、千代田区の配当基数0.426は0.5を「著しく下回る」とはいえず、都議会がその歴史的役割や地域代表の必要性を考慮した判断には合理性がある。 2. 定数配分について、最大較差1対3.52は、現行の選挙制度下で地域間の均衡を図るために通常考慮し得る要素を斟酌すれば、一般的に合理性を有しない程度に達しているとはいえない。また、検討委員会での審議プロセスを経ており、社会通念上著しく不合理な事情も認められない。
結論
本件条例の定数配分規定は、東京都議会に与えられた合理的裁量の範囲内のものであり、公職選挙法15条7項に違反せず、適法である。
実務上の射程
地方議会選挙の定数訴訟におけるリーディングケース。国政選挙よりも「地域代表的性格」が強く意識されており、裁量権の逸脱・濫用審査の枠組み(0.5の基準や一般に合理性を有しない程度の検討)を答案で示す際に用いる。
事件番号: 平成1(行ツ)6 / 裁判年月日: 平成元年12月21日 / 結論: 棄却
岡山県議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数に関する条例(昭和五七年岡山県条例第二一号)の議員定数配分規定は、昭和六二年四月一二日の岡山県議会議員選挙当時、公職選挙法一五条七項に違反していたものとはいえない。