岡山県議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数に関する条例(昭和五七年岡山県条例第二一号)の議員定数配分規定は、昭和六二年四月一二日の岡山県議会議員選挙当時、公職選挙法一五条七項に違反していたものとはいえない。
岡山県議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数に関する条例(昭和五七年岡山県条例第二一号)の議員定数配分規定の適法性
岡山県議会の議員の定数並びに選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数に関する条例(昭和57年岡山県条例第21号)2条,公職選挙法15条7項
判旨
都道府県議会議員選挙における定数配分規定の合憲性は、議会の裁量権の合理的行使として是認できるかにより決すべきであり、投票価値の不平等が一般的に合理性を有しない程度に達していない限り、公職選挙法15条7項に違反しない。
問題の所在(論点)
都道府県議会議員選挙において、人口比例原則を修正して特例選挙区を設置し、投票価値に最大3.445倍の較差が生じている定数配分規定が、公選法15条7項(憲法14条1項の要請に基づく人口比例原則)に違反し違法となるか。
規範
1. 特例選挙区(公選法271条2項)の設置は、行政施策上の代表確保の必要性や合区の困難性等を総合判断する議会の裁量に委ねられる。ただし、配当基数が0.5を著しく下回る場合は認められない。 2. 定数配分(公選法15条7項)は人口比例を基本とするが、地域間の均衡を考慮する裁量が認められる。投票価値の不平等が、諸般の要素を斟酌しても一般的に合理性を有すると考えられない程度に達しているときは、合理的裁量の限界を超えたものと推定され、正当化すべき特別の理由がない限り違法となる。
重要事実
昭和62年施行の岡山県議会議員選挙において、阿哲郡及び川上郡の2選挙区が特例選挙区(定数各1)とされた。当時の配当基数はそれぞれ約0.474及び約0.487であり、0.5を僅かに下回っていた。また、特例選挙区を含む最大較差は1対3.445、除いた場合は1対2.834であった。県議会は、過疎地域の振興や地域住民の意思反映という行政施策上の必要性から当該区の存置を決定した。
あてはめ
1. 特例選挙区について、配当基数は0.5を僅かに下回る程度であり、「0.5を著しく下回る」場合には当たらない。また、県北農山村部の過疎化対策という高度な政策的考慮に基づく代表確保の必要性が認められるため、裁量権の合理的行使として是認できる。 2. 定数配分について、最大較差3.445倍は、地域間の均衡を図るため通常考慮しうる諸要素を斟酌すれば、一般的に合理性を有しない程度に達しているとはいえない。現に、人口比例を厳格に適用した場合の計算上の較差(1対3.465)よりも縮小されており、逆転現象も生じていない。
結論
本件条例の定数配分規定は、県議会の合理的裁量の範囲内のものであり、公選法15条7項に違反せず、適法である。
実務上の射程
都道府県議会選挙における較差の許容限度を示す。国政選挙よりも「地域代表的性格」が強く意識され、3倍を超える較差も行政施策上の必要性から裁量圏内とされる傾向がある。答案では、地方議会の特殊性と議会の裁量権の広さを論述する際に引用する。
事件番号: 昭和63(行ツ)176 / 裁判年月日: 平成元年12月18日 / 結論: 破棄自判
一 都道府県議会において、当該都道府県の行政施策の遂行上当該地域からの代表確保の必要性の有無・程度、隣接の郡市との合区の困難性の有無・程度等を総合判断して、公職選挙法二七一条二項に基づくいわゆる特例選挙区設置の必要性を判断し、かつ、地域間の均衡を図るための諸般の要素を考慮した上で右設置を決定したときは、右設置は原則的に…