第一審及び控訴審の訴訟追行並びに上告の堤起が授権を欠く訴訟代理人により行われた場合において、本人が右各訴訟行為のうち上告の提起のみを追認して訴訟代理権の欠缺を理由に控訴審判決の破棄を求めているときは、上告審は、控訴審判決を破棄して第一審判決を取り消した上、訴えを却下すべきである。
上告審において第一審以来の訴訟代理権の欠缺が認められて訴えが却下された事例
民訴法54条,民訴法87条,民訴法99条
判旨
訴訟代理権を欠く代理人によって提起された訴えは、適法な追認がない限り不適法であり、裁判所は本案判決を破棄し、訴えを却下しなければならない。
問題の所在(論点)
訴訟代理権を欠く代理人によって提起・追行された訴訟手続の効力、および本人が一部の訴訟行為(上告提起)のみを追認し、前審までの無権代理を理由に判決の破棄を求める場合の処理が問題となる。
規範
訴訟代理権(民事訴訟法54条)は訴訟要件の一種であり、裁判所は職権でその存否を調査すべき事項である。訴訟代理権を欠く者によって提起された訴えは不適法であり、本人の意思に基づく適法な訴訟委任または事後の適法な追認(同法34条2項準用)が認められない限り、却下を免れない。
重要事実
本件訴えの提起から第一次控訴審、第二次控訴審に至るまで、複数の訴訟代理人が訴訟を追行した。しかし、記録上の訴訟委任状が上告人(本人)の意思に基づいて作成されたことを認める証拠はなく、適法な代理権の授与があったとは認められなかった。その後、上告人は新たな代理人を選任し、無権代理人が行った上告提起については追認したが、それ以前の訴訟手続については代理権の欠如を理由に原判決の破棄を求めた。
あてはめ
当審の証拠調べの結果、第一審から第二次控訴審までの各訴訟代理人に対し、上告人らが訴訟代理権を授与した事実は認められない。上告人らは、新たな代理人を通じて「上告提起」については追認したものの、それ以前の訴訟行為については代理権の欠如を主張して争っている。この場合、訴え提起自体が適法な代理権に基づかない不適法なものと言わざるを得ない。追認は上告提起という特定の行為に留まっており、当初からの訴え提起を適法化させるものではないため、本件訴えは依然として訴訟要件を欠く状態にある。
結論
本件訴えは訴訟代理権を欠く代理人によって提起された不適法なものであるため、本案につき判断した原判決を破棄し、第一審判決を取り消した上で、訴えを却下する。
実務上の射程
訴訟要件としての代理権の重要性を示す。本人が上告審で初めて「前審までの代理人は無権代理であった」と主張し、判決の破棄を求める戦術が認められた事例である。実務上は、訴えの適法性を維持するために、訴え提起から遡及的に追認させる必要がある点に留意すべきである。
事件番号: 昭和24(オ)244 / 裁判年月日: 昭和26年3月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】民法117条に基づく無権代理人の責任を追及する場合において、裁判所が当該契約を被告本人が売主として締結したものと認定したときは、無権代理を前提とする請求を排斥すべきである。裁判所は、当事者が主張していない事項について判断する義務を負わない。 第1 事案の概要:上告人(買主)が、被上告人(被告)およ…