在監者の信書の発受に関する制限を定めた監獄法五〇条、監獄法施行規則一三〇条の規定は、憲法二一条に違反しない。
在監者の信書の発受に関する制限を定めた監獄法五〇条、監獄法施行規則一三〇条の規定と憲法二一条
監獄法46条1項,監獄法50条,監獄法施行規則130条,憲法21条
判旨
監獄法及び施行規則に基づく受刑者の信書制限は憲法21条2項の「検閲」に当たらず、監獄内の規律維持や受刑者の更生等の目的を達成するために必要な範囲内での制限は合憲である。
問題の所在(論点)
1. 監獄法に基づく受刑者の信書等の制限が、憲法21条2項前段の禁止する「検閲」に該当するか。 2. 監獄法に基づく受刑者の自由の制限が憲法21条等に違反し違憲とならないか。
規範
憲法21条2項前段が禁じる「検閲」とは、行政権が主体となり、思想内容等の表現物を対象として、その全部又は一部の発表を禁止する目的で、対象物を網羅的に審査し、不適当と認めるものの発表を禁止することを指す。監獄法等の規定に基づく信書制限は、受刑者の監獄内における規律・秩序を維持し、その更生・改善を図るという監獄の目的を達するために行われるものであり、検閲には当たらない。また、これらの制限が憲法21条等に違反しないことは判例の趣旨に照らし明らかである。
重要事実
上告人らは受刑者であり、監獄法31条2項(新聞等の閲読制限)及び同法50条、監獄法施行規則130条に基づく信書の閲読・発送に関する制限を受けた。具体的には、記事の抹消処分(本件抹消処分(二))や、信書の投かんを申出日の翌日等に行うといった措置がとられた。これに対し上告人らは、これらの制限が憲法13条、19条、21条に違反し、特に信書制限が21条2項の検閲にあたる等と主張して争った。
あてはめ
判例(よど号新聞記事抹消事件等)の定義によれば、検閲は発表の禁止を目的とした網羅的審査を指すが、監獄における信書制限は「監獄内の規律維持」や「更生」といった監獄特有の目的を達成するための管理手段である。したがって、憲法21条2項の検閲には該当しない。また、本件における抹消処分や信書発送の時期に関する具体的な措置(申出の翌日投かん等)についても、原審が認定した事実関係に基づけば、監獄管理上の合理的な範囲内であり、正当として是認される。これにより、憲法各条項に違反するとはいえない。
結論
監獄法等に基づく信書・表現の自由の制限は憲法21条2項の検閲に当たらず、適法な管理目的の範囲内であれば憲法各条項に違反しない。
実務上の射程
受刑者の人権制限の限界に関する事案であり、特に信書の秘密や検閲の定義が問われる場面で活用する。検閲の定義(税関検査事件判決踏襲)を明示した上で、監獄という特殊な環境下における目的の合理性を論じる際の根拠となる。答案上では、制限の目的が「監獄内の規律・秩序維持」にあることを強調し、手段の相当性を判断する枠組みとして用いる。
事件番号: 平成3(オ)804 / 裁判年月日: 平成5年9月10日 / 結論: 棄却
受刑者の改善、更生という懲役刑の目的が阻害されることを理由として、現在の監獄の管理体制の糾弾を主たる目的とする図書の受刑者の閲読を不許可とする処分は、憲法一三条、一九条、二一条に違反しない。
事件番号: 平成7(行ツ)66 / 裁判年月日: 平成11年2月26日 / 結論: 棄却
東京拘置所に収容されている死刑確定者が新聞社にあてて投稿文を発送することの許可を求めたのに対し、東京拘置所長が、死刑確定者の心情の安定にも十分配慮して、死刑の執行に至るまでの間、社会から厳重に隔離してその身柄を確保するとともに、拘置所内の規律及び秩序が放置することができない程度に害されることがないようにするために、これ…