在監者の信書の発受に関する制限を定めた監獄法50条,監獄法施行規則130条の規定は,憲法21条,34条,37条3項に違反しない。
在監者の信書の発受に関する制限を定めた監獄法50条,監獄法施行規則130条の規定と憲法21条,34条,37条3項
監獄法46条1項,監獄法50条,監獄法施行規則130条,憲法21条,憲法34条,憲法37条3項
判旨
在監者(被勾留者)と弁護人との間における信書の発受について、監獄法等の規定に基づき拘置所長が検閲を行うことは、逃亡・罪証隠滅の防止や監獄内の規律維持を目的とする必要かつ合理的な制限であり、憲法や刑事訴訟法に違反しない。
問題の所在(論点)
身体拘束を受けている被告人と弁護人との間の信書について、拘置所長が一律に検閲を行うことは、憲法34条が保障する弁護人依頼権、および刑事訴訟法39条1項の接見交通権(秘密交通権)の趣旨に照らして許されるか。
規範
在監者の信書の発受に関する制限(検閲を含む)を定めた監獄法50条および監獄法施行規則130条の規定は、憲法21条(表現の自由・通信の秘密)、34条(弁護人依頼権)等に違反しない。これらの制限は、逃亡・罪証隠滅の防止、ならびに監獄内の規律および秩序の維持という公の利益を目的とするものであり、その目的を達成するために必要かつ合理的な範囲内であれば、弁護人とのコミュニケーションを直接の目的とする制約ではないため、許容される。
重要事実
上告人(被告人・被勾留者)が弁護人と発受しようとした信書について、拘置所長が監獄法50条および同法施行規則130条に基づき、内容を確認する「検閲」を実施した。上告人は、かかる検閲が弁護人との秘密交通権を侵害し、憲法および刑事訴訟法39条1項等に違反するとして争ったが、下級審はいずれもこれを正当な制限として是認した。
あてはめ
刑事訴訟法39条1項は、立会人なしに口頭で自由に接見することを保障しているが、信書の発受については同条2項により、逃亡・罪証隠滅・戒護に支障のある物の授受を防ぐための「必要な措置」を講じることが予定されている。本件の検閲は、監獄内の規律維持等の正当な目的のために行われており、口頭での自由な接見が保障されている以上、信書の検閲は必要かつ合理的な制限の範囲にとどまる。したがって、弁護人との間であっても例外ではなく、監獄法令の規定に基づき一律に検閲を行うことは適法である。
結論
監獄法50条等に基づく信書の検閲は合憲・適法であり、本件検閲に違法はない。上告棄却。
実務上の射程
本判決の多数意見は、弁護人との信書であっても一律の検閲を認める。ただし、現在は刑事収容施設法(旧監獄法を全面改正)により、弁護人との信書については原則として検査(内容の閲読を伴わない物が入っていないかの確認)にとどめ、検閲は一定の要件がある場合に限定されている点に注意が必要。司法試験答案上は、接見交通権の制限の限界を論じる際、原則として監獄(収容施設)の規律維持という公共の福祉による制約が及ぶことを示す判例として機能する。
事件番号: 平成3(オ)804 / 裁判年月日: 平成5年9月10日 / 結論: 棄却
受刑者の改善、更生という懲役刑の目的が阻害されることを理由として、現在の監獄の管理体制の糾弾を主たる目的とする図書の受刑者の閲読を不許可とする処分は、憲法一三条、一九条、二一条に違反しない。
事件番号: 平成5(行ツ)178 / 裁判年月日: 平成6年10月27日 / 結論: 棄却
在監者の信書の発受に関する制限を定めた監獄法五〇条、監獄法施行規則一三〇条の規定は、憲法二一条に違反しない。