民事上の請求として、運輸大臣が設置し、管理する空港整備法二条一項二号所定の第二種空港を民間航空機の離着陸に使用させることの差止めを求める訴えは、不適法である。
民事上の請求として運輸大臣の設置管理に係る第二種空港を民間航空機の離着陸に使用させることの差止めを求める訴えの適否
民訴法第2編第1章訴
判旨
国が設置・管理する空港における民間機及び自衛隊機の離着陸の差止めを民事訴訟で求めることは、公権力の行使の取消変更等を求めるものであり不適法である。また、支配の及ばない米軍機の離着陸差止めを国に求める請求は、主張自体失当である。
問題の所在(論点)
国営空港において、騒音被害を理由として(1)民間機、(2)自衛隊機、(3)米軍機の離着陸の差止めを民事訴訟により請求することの可否。
規範
1. 国営空港における航空機の離着陸は、空港管理者である運輸大臣の公権力の行使たる航空行政権の行使を前提とする。したがって、民間機の離着陸差止めを求める訴えは、民事訴訟の対象とならず不適法である。 2. 自衛隊機の運航は、防衛庁長官(当時)に委ねられた権限の行使である。そのため、その差止めを求めることは当該権限行使の取消変更を求めることに等しく、民事訴訟としては不適法である。 3. 第三者である米軍の行為については、国にその制限権限がない限り、国を被告としてその差止めを求めることは主張自体失当である。
重要事実
第二種空港(小牧空港)の周辺住民である上告人らが、航空機騒音被害を理由として、国を被告とし、毎日午後9時から翌日午前7時までの間の民間機、自衛隊機、および米軍機の離着陸の差止めを求めて民事訴訟を提起した事案である。
あてはめ
1. 本件空港は空港整備法に基づき国が管理するものであり、民間機の離着陸規制は航空行政権の行使に属する。これは民事上の請求の範囲外である。 2. 自衛隊機の運航についても、その規制は防衛行政上の権限行使に帰属する。行政訴訟の要件検討は別として、民事上の請求としては適格を欠く。 3. 米軍機については、日米安保条約等に基づき国がその使用を制限し得る特段の定めがない。すなわち、国にとって支配の及ばない第三者の行為の差止めを求めているに等しく、請求は理由がない(主張自体失当)。
結論
民間機及び自衛隊機の差止め請求は不適法として却下。米軍機の差止め請求については、主張自体失当として棄却(第一審の却下判決を維持)。
実務上の射程
国営空港(特に自衛隊共用空港)における差止請求の適法性を否定した重要判例である。答案上は、公法上の権利義務関係や「公権力の行使」が介在する場面での民事差止めの限界を論じる際に、民間機・自衛隊機・米軍機の三者を区別して論じる必要がある。
事件番号: 平成11(オ)887 / 裁判年月日: 平成14年4月12日 / 結論: 棄却
外国国家の主権的行為については,国際慣習法上,民事裁判権が免除される。
事件番号: 平成27(行ヒ)512 / 裁判年月日: 平成28年12月8日 / 結論: その他
1 自衛隊が設置し,海上自衛隊及びアメリカ合衆国海軍が使用する飛行場の周辺に居住する住民が,当該飛行場における航空機の運航による騒音被害を理由として,自衛隊の使用する航空機の毎日午後8時から午前8時までの間の運航等の差止めを求める訴えについて,①上記住民は,当該飛行場周辺の「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」…
事件番号: 平成18(受)882 / 裁判年月日: 平成19年5月29日 / 結論: 破棄自判
飛行場において離着陸する航空機の発する騒音等により周辺住民らが精神的又は身体的被害等を被っていることを理由とする損害賠償請求権のうち事実審の口頭弁論終結の日の翌日以降の分は,判決言渡日までの分についても,将来の給付の訴えを提起することのできる請求権としての適格を有しない。 (補足意見及び反対意見がある。)