甲の乙に対する売買契約に基づく所有権移転登記手続請求訴訟において、丙が、乙に対して所有権移転請求権保全の仮登記に基づく本登記手続を、甲に対して右本登記手続の承諾を求めてした参加の申出は、民訴法七一条による参加の申出に当たらない。
民訴法七一条による参加の申出に当たらないとされた事例
民訴法71条
判旨
独立当事者参加(民訴法47条)が認められるためには、三者が互いに相争う紛争を一挙に解決すべく、訴訟の目的である権利関係が全員につき合一に確定されることを要する。本件のような登記手続の承諾請求等は、所有権の帰属自体を確定するものではないため、独立当事者参加の要件を欠く。
問題の所在(論点)
本件土地の所有権移転登記を求める本訴に対し、参加人が被告への登記手続と原告への登記承諾を求める申立ては、民事訴訟法47条(独立当事者参加)の要件を満たすか。
規範
独立当事者参加(民事訴訟法47条)の制度は、同一の権利関係について原告・被告・参加人の三者が互いに相争う紛争を、一の訴訟手続によって一挙に矛盾なく解決し、訴訟の目的となった権利関係を全員につき合一に確定することを目的とする。したがって、三者の間で権利関係を合一に確定すべき関係にない場合には、同条の参加は認められない。
重要事実
原告(上告人)が被告(被上告人B2)に対し、売買契約に基づく土地の所有権移転登記等を求めて本訴を提起した。これに対し、参加人(被上告人B1)が、被告に対する仮登記に基づく本登記手続と、原告(処分禁止の仮処分登記名義人)に対する右本登記の承諾を求めて独立当事者参加(旧民訴法71条、現行47条)を申し立てた。原審はこれを適法な参加と認め、参加人の請求を認容して原告の請求を棄却した。
事件番号: 昭和29(オ)123 / 裁判年月日: 昭和32年9月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】独立当事者参加(民事訴訟法47条)において、参加人が原告の請求の棄却を求めるのみで、被告に対して別途の請求を申し立てない場合であっても、同条の参加として適法である。 第1 事案の概要:原告(上告人)が被告に対し、特定の土地の所有権および耕作権の確認ならびに所有権移転登記手続を求めて提訴した。これに…
あてはめ
独立当事者参加が認められるには、三者間で権利の帰属等が合一に確定される必要がある。しかし、参加人の申立ては、被告に対する登記請求と原告に対する登記承諾請求にとどまり、土地所有権の所在の確定を求めるものではない。そうすると、原告・被告・参加人の三者間において、所有権等の権利関係が一の判決によって合一に確定されるべき状況にあるとはいえず、他に合一に確定されるべき権利関係も訴訟の目的となっていない。したがって、本件参加の申出は同条の要件を欠き、実質は新訴の提起にすぎないといえる。
結論
本件参加の申出は独立当事者参加の要件を満たさず不適法である。原審はこれを適法として審理した違法があるため、判決を破棄し、参加人の請求部分は管轄裁判所へ移送すべきである。
実務上の射程
二面的な請求(登記請求とその承諾請求)の組み合わせだけでは「合一確定」の要件を満たさないことを示した。実務上、権利主張参加として認められるには、三者が対立する同一の権利(所有権の帰属等)が訴訟物として共通に含まれている必要があることを強調する際に用いる。
事件番号: 昭和33(オ)554 / 裁判年月日: 昭和36年8月17日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】独立当事者参加訴訟において、一当事者が証書の成立を認める自白をしても、参加人がこれを争う以上、当該自白の効力は参加人には及ばず、二段の推定(民訴法228条4項)も適用されない。 第1 事案の概要:不動産所有権移転登記手続請求事件の控訴審において、第三者Aが民訴法47条に基づき独立当事者参加した。本…
事件番号: 昭和58(オ)749 / 裁判年月日: 昭和60年3月15日 / 結論: その他
民訴法七一条に基づく当事者参加の申立があつた場合でも、原告は、被告及び参加人の同意を得て、訴えを取り下げることができる。
事件番号: 昭和48(オ)699 / 裁判年月日: 昭和50年3月13日 / 結論: 棄却
当事者参加訴訟において上訴の相手方とされず、かつ、みずから上訴しなかつた当事者は、当該上訴審において被上訴人の地位に立つものと解すべきである。
事件番号: 昭和31(オ)1070 / 裁判年月日: 昭和32年12月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】権利能力なき社団の代表者が、社団のために自己の名において締結した契約の効果は、当該社団の構成員全員に帰属する。 第1 事案の概要:被上告人は、権利能力なき社団である「懇話会」の代表者であり、同会の活動に関連して上告人との間で売買契約を締結した。この際、被上告人は同会の会員全員のために、自己の名にお…