保険契約者が取得した死亡保険金は、所得税法(昭和六三年法律第一〇九号による改正前のもの)九条一項二一号及び所得税法施行令(昭和六三年政令第三六二号による改正前のもの)三〇条一号所定の非課税所得には当たらず、同法三四条一項所定の一時所得として課税の対象になる。
保険契約者が取得した死亡保険金と所得税法(昭和六三年法律第一〇九号による改正前のもの)九条一項二一号及び所得税法施行令(昭和六三年政令第三六二号による改正前のもの)三〇条一号所定の非課税所得該当の有無
所得税法(昭和83年法律第109号による改正前のもの)9条1項21号,所得税法(昭和83年法律第109号による改正前のもの)34条1項,所得税法施行令(昭和63年政令第362号による改正前のもの)30条1号
判旨
不法行為により死亡した者の相続人が取得した生命保険金は、所得税法9条1項21号および同施行令30条1号所定の非課税所得には該当せず、一時所得として課税対象となる。
問題の所在(論点)
不法行為による死亡を原因として受領した生命保険金が、所得税法9条1項21号および同施行令30条1号にいう「心身に加えられた損害に基因して取得するもの」として非課税所得に該当するか、それとも同法34条1項の一時所得として課税対象となるかが問題となった。
規範
所得税法9条1項21号および同施行令30条1号が規定する非課税所得としての「心身に加えられた損害に基因して支払を受けるもの」とは、損害賠償金や慰謝料など、被害者の被った精神的・肉体的苦痛を補填する性質のものを指す。これに対し、生命保険契約等に基づき支払われる保険金は、対価として支払われた保険料の運用成果としての側面を有し、損害の補填という性質を欠くため、非課税所得には当たらない。
重要事実
上告人は、不法行為により死亡した被相続人の相続人として生命保険金を取得した。この保険金について、上告人は所得税法上の非課税所得(心身損害に基因する所得)に該当すると主張したが、課税当局は一時所得として課税の対象になると判断した。なお、具体的な事件の経緯や保険契約の詳細な内容は判決文からは不明である。
事件番号: 平成20(行ヒ)16 / 裁判年月日: 平成22年7月6日 / 結論: 破棄自判
1 相続税法(平成15年法律第8号による改正前のもの)3条1項1号の規定によって相続により取得したものとみなされる生命保険契約の保険金であって年金の方法により支払われるもののうち有期定期金債権に当たる年金受給権に係る年金の各支給額については,被相続人死亡時の現在価値に相当する金額として相続税法24条1項1号所定の当該年…
あてはめ
本件保険金は、被相続人の死亡という事実を契機として支払われたものであるが、その法的性質は保険契約に基づく給付であり、不法行為者から支払われる損害賠償金とは異なる。所得税法が定める非課税所得は、心身の損害を直接的に填補し、利得が生じない性質のものを想定している。しかし、生命保険金は拠出された保険料の対価的性質を有し、受取人にとって経済的利得を生じさせるものであるから、心身の損害に対する補填そのものとはいえない。
結論
本件保険金は非課税所得には当たらず、所得税法34条1項所定の一時所得として課税の対象となる。
実務上の射程
死亡保険金が相続税の対象ではなく所得税の対象となる場合(保険料負担者と受取人が同一で、被保険者が他人の場合など)において、その所得区分を一時所得と判断する際の根拠となる。損害賠償金等との区別を論じる際、非課税規定の限定的解釈を示す射程を持つ。
事件番号: 昭和40(行ツ)40 / 裁判年月日: 昭和47年12月26日 / 結論: 棄却
一、旧相続税法(昭和二二年法律第八七号)四条一項四号は、被相続人の死亡後退職手当金等の支給額が確定され、これにより相続人等が支給者に対して直接に右退職手当金等請求権を取得した場合についても、これを相続財産とみなして相続税を課することとしたものであつて、生前退職の場合を含み、これを死亡退職の場合に限ると解すべきではない。…
事件番号: 平成21(行ヒ)404 / 裁判年月日: 平成24年1月13日 / 結論: その他
1 一時所得に係る支出が所得税法34条2項にいう「その収入を得るために支出した金額」に該当するためには,それが当該収入を得た個人において自ら負担して支出したものといえることを要する。 2 死亡保険金の受取人を会社とし,満期保険金の受取人を当該会社の代表者らとする養老保険契約の保険料を当該会社が支払い,満期保険金を当該代…