所得税法二三条二項は、憲法一四条一項、二九条に違反しない。
所得税法二三条二項と憲法一四条一項、二九条
憲法14条1項,憲法29条,所得税法23条2項
判旨
所得税法23条2項がワラント債の利息に係る所得に適用されることは、憲法14条1項の法の下の平等及び29条の財産権に違反しない。
問題の所在(論点)
所得税法23条2項の規定、および同規定をワラント債の利息所得に適用することが、憲法14条1項(平等原則)および憲法29条(財産権)に違反するか。
規範
租税法の規定が憲法14条1項に違反するか否かは、租税目的の正当性や、その目的達成のための手段としての区別が合理的な範囲内にあるかによって判断される。また、財産権(憲法29条)との関係では、租税制度の構築は立法府の広い裁量に委ねられており、その内容が著しく不合理でない限り、合憲と解される。
重要事実
上告人は、自身が保有するワラント債(新株引受権付社債)から生じた利息に係る所得について、所得税法23条2項(利子所得に関する規定)を適用して課税された。これに対し上告人は、当該規定が他の種類の所得との比較において不当な差別であり、かつ財産権を侵害するものであるとして、その違憲性を主張して争った。
あてはめ
最高裁は、先行する大法廷判決(昭和30年3月23日判決、昭和60年3月27日判決)の趣旨を引用し、租税法規における区別や財産権への制約について立法府の裁量を広く認めた。本件ワラント債の利息を利子所得として課税対象とすることは、租税体系上の合理性を欠くものではなく、他の所得区分との均衡を著しく失うものともいえない。したがって、当該規定は不当な差別には当たらず、財産権の不当な侵害にも該当しないと評価される。
結論
所得税法23条2項は憲法14条1項、29条に違反せず、本件ワラント債の利息所得への適用も合憲であるため、上告を棄却する。
実務上の射程
租税法規の違憲審査基準について、立法府の広い裁量を認める従来の判例理論を維持したものである。所得区分や課税対象の選択に関する争点において、特段の事情がない限り「著しく不合理」でない限り合憲とされる実務上の判断枠組みを補強する例として機能する。
事件番号: 平成3(行ツ)159 / 裁判年月日: 平成3年12月5日 / 結論: 棄却
租税特別措置法(昭和六三年法律第一〇九号による改正前のもの)三条一項の規定は、憲法一四条一項、二五条に違反しない。
事件番号: 平成21(行ツ)73 / 裁判年月日: 平成23年9月22日 / 結論: 棄却
所得税に係る長期譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額につき他の各種所得の金額から控除する損益通算を認めないこととした平成16年4月1日施行に係る平成16年法律第14号による改正後の租税特別措置法31条の規定を,同年1月1日以後に個人が行う同条1項所定の土地等又は建物等の譲渡について適用するものとしている平成16年法律…
事件番号: 平成21(行ヒ)199 / 裁判年月日: 平成21年12月4日 / 結論: 棄却
租税特別措置法(平成14年法律第79号による改正前のもの)40条の4第1項は,「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とシンガポール共和国政府との間の協定」7条1項に違反しない。