国民の祝日、勤務を要しない土曜日等を休日である日曜日とは別の「一般休暇日」と定め、これらが労働基準法(昭和六二年法律第九九号による改正前のもの)三九条一項にいう全労働日に含まれるものとした就業規則の規定は、当該職場における勤務関係においてこれらが休日と実質的に異ならない取扱いがされているときは、同項に違反し無効である。
就業規則の規定が労働基準法(昭和六二年法律第九九号による改正前のもの)三九条一項に違反し無効であるとされた事例
労働基準法(昭和62年法律第99号による改正前のもの)39条1項
判旨
労働基準法39条1項の「全労働日」とは、労働者が労働契約上労働義務を課せられている日を指し、就業規則で定める一般休暇日はこれに含まれない。また、使用者は年次有給休暇取得日を賞与計算において欠勤として扱うことはできない。
問題の所在(論点)
1. 労働基準法39条1項の「全労働日」に、就業規則で定められた「一般休暇日」が含まれるか。 2. 年休取得日を賞与の算定において「欠勤」として扱うことは許されるか。
規範
1. 労働基準法39条1項の「全労働日」とは、一年の総暦日数のうち、労働者が労働契約上労働義務を課せられている日数をいう。したがって、就業規則等により労働義務が課せられていない日は「全労働日」に含まれない。 2. 労働基準法39条4項(現7項参照)が、年次有給休暇期間について賃金支払を義務付けている趣旨に鑑みれば、使用者は、年次休暇の取得日の属する期間に対応する賞与の計算上、当該取得日を欠勤として扱うことはできない。
重要事実
上告会社(被告)の新就業規則において、本来労働義務がないはずの「一般休暇日」を「全労働日」に含めて年次有給休暇(年休)の成立要件(出勤率)を算定する旨を定めていた。また、会社側は労働者が取得した年休について、給与を支払わないものとし、かつ賞与の支給に係る勤怠考課においてこれを「欠勤」として扱った。これに対し、労働者(原告)側が未払賃金等の支払を求めて争った事案である。
あてはめ
1. 「一般休暇日」は労働者が労働義務を課せられていない日である。したがって、これを「全労働日」に含めて年休成立要件を定める新就業規則の規定は、同条に違反し無効である。よって、年休の成立要件は旧就業規則によるべきである。 2. 本件では就業規則上、法定年休と法定外年休を区別せず同様に取り扱う趣旨と認められる。労基法が年休期間中の賃金支払を義務付けている趣旨から、年休取得を理由に不利益な算定を行うことは許されないため、賞与算定においてこれらを欠勤扱いすることはできない。
結論
一般休暇日は全労働日に含まれず、これを含める就業規則の規定は無効である。また、年休取得日を賞与計算上、欠勤扱いすることはできない。
実務上の射程
年休取得に対する「不利益取扱い」の禁止を導くリーディングケースの一つである。答案上は、出勤率算定の基礎となる「全労働日」の定義(労働義務の有無)を明確に示すとともに、賞与等の算定における不利益取扱いの是非が問われた際に、法39条の趣旨(休暇取得の保障)を根拠に論じる際に用いる。
事件番号: 昭和59(オ)303 / 裁判年月日: 平成元年12月22日 / 結論: 破棄差戻
すべての原因による不就労を基礎として算出した前年の稼働率が八〇パーセント以下の従業員を翌年度のベースアップを含む賃金引上げの対象者から除外する旨の労働協約条項は、そのうち労働基準法又は労働組合法上の権利に基づくもの以外の不就労を稼働率算定の基礎とする部分は有効であるが、右各権利に基づく不就労を稼働率算定の基礎とする部分…
事件番号: 平成23(受)2183 / 裁判年月日: 平成25年6月6日 / 結論: 棄却
無効な解雇の場合のように労働者が使用者から正当な理由なく就労を拒まれたために就労することができなかった日は,労働基準法39条1項及び2項における年次有給休暇権の成立要件としての全労働日に係る出勤率の算定に当たっては,出勤日数に算入すべきものとして全労働日に含まれる。