児童福祉法(昭和六一年法律第一〇九号による改正前のもの)五六条一項、二項は、憲法二五条に違反しない。
児童福祉法(昭和六一年法律第一〇九号による改正前のもの)五六条一項、二項と憲法二五条
憲法25条,児童福祉法(昭和61年法律第109号による改正前のもの)56条1項,児童福祉法(昭和61年法律第109号による改正前のもの)56条2項
判旨
保育料は保育という給付に対する反対給付の性質を有し、憲法84条の「租税」には当たらない。また、児童福祉法56条による保育料徴収規定は、経済的弱者への減免措置を予定していることから、憲法14条、25条に違反しない。
問題の所在(論点)
1. 保育料は憲法84条の「租税」に該当するか。 2. 扶養義務者等に費用の全額負担を求める児童福祉法の規定は、憲法14条、25条に違反するか。
規範
1. 憲法84条に規定する「租税」とは、国家が課税権に基づき、特定の給付に対する反対給付としてではなく、経費調達目的で一定の要件に該当する者に課する金銭給付を指す。 2. 憲法25条の趣旨に照らし、特定の公的サービスの費用負担規定が、負担能力に応じた軽減・免除措置を伴うなど合理的な仕組みを有していれば、同条および14条に違反しない。
重要事実
市町村長が児童福祉法に基づき児童を保育所へ入所させた際、同法56条1項および2項に基づき、本人または扶養義務者から保育に要した費用の全額を徴収することとされた。これに対し、上告人が、当該保育料の徴収は「租税」に該当するため法律の根拠が必要であること、また経済的負担を課すことは憲法14条(平等権)および25条(生存権)に違反するとして争った事案である。
事件番号: 平成15(行ツ)202 / 裁判年月日: 平成18年3月28日 / 結論: 棄却
農作物共済に係る共済掛金及び賦課金の具体的決定を農業共済組合の定款又は総会若しくは総代会の議決にゆだねている農業災害補償法(平成11年法律第160号による改正前のもの)107条1項,農業災害補償法(平成15年法律第91号による改正前のもの)43条1項2号,86条1項,87条1項,農業災害補償法45条の2,87条3項の規…
あてはめ
1. 保育料は、保育所での保育という具体的な公的給付を受けることに対する「反対給付」として徴収されるものである。したがって、反対給付性を欠く「租税」の定義には該当しない。 2. 児童福祉法56条は、原則として全額徴収を定めつつ、2項において扶養義務者等の負担能力が不足・欠缺する場合には市町村が代わって負担(軽減・免除)することを定めている。この仕組みにより、経済的弱者が保育機会を失う事態は回避可能であり、規定自体に合理性が認められる。
結論
保育料は租税に当たらず憲法84条違反とはならない。また、負担能力に応じた減免措置が講じられているため、憲法14条および25条にも違反しない。
実務上の射程
租税法律主義の対象となる「租税」の定義を示す際の主要な規範。また、特定の行政サービスにおける受益者負担金が生存権や平等権に抵触するかを判断する際、減免規定の有無を合理性判断のポイントとする手法として活用できる。
事件番号: 平成12(行ツ)62 / 裁判年月日: 平成18年3月1日 / 結論: 棄却
1 市町村が行う国民健康保険の保険料については,これに憲法84条の規定が直接に適用されることはないが,同条の趣旨が及ぶと解すべきであるところ,国民健康保険法81条の委任に基づき条例において賦課要件がどの程度明確に定められるべきかは,賦課徴収の強制の度合いのほか,社会保険としての国民健康保険の目的,特質等をも総合考慮して…
事件番号: 昭和34(オ)1193 / 裁判年月日: 昭和36年9月6日 / 結論: 棄却
一 民法第七六二条第一項は憲法第二四条に違反しない。 二 所得税法が夫婦の所得を合算切半して計算することにしていないからといつて憲法第二四条に違反しない。
事件番号: 昭和55(行ツ)67 / 裁判年月日: 昭和56年6月25日 / 結論: 棄却
地方税法二四条の五第一項三号、二九五条一項三号にいう老年者の「所得の金額」を算定するに当たつて当該老年者の受給した公的年金等の収入金額から租税特別措置法(昭和五四年法律第一五号による改正前のもの)二九条の三所定の老年者年金特別控除額を控除すべきではない。