認知されていない非嫡出子は、父との間の親子関係の存在確認の訴えを提起することができない。
認知されていない非嫡出子が提起した父子関係存在確認の訴えの許否
民法779条,民訴法225条,人事訴訟手続法第2章
判旨
嫡出でない子と父との間の法律上の親子関係は認知によって初めて発生するため、認知を経ない親子関係存在確認の訴えは不適法である。
問題の所在(論点)
認知がなされていない場合において、嫡出でない子と父との間の親子関係存在確認の訴え(人事訴訟法2条2号参照)を提起することが認められるか、認知制度の趣旨と確認の訴えの適否が問題となる。
規範
嫡出でない子と父との間の法律上の親子関係は、認知(民法779条、787条)を待って初めて発生する。したがって、法律上の親子関係が未だ形成されていない段階では、その存在確認を求める訴えの利益を欠く。
重要事実
上告人(嫡出でない子)が、被上告人(父とされる者)との間において、認知の届出や認知を命ずる確定判決等の認知手続を経ることなく、直接、親子関係存在確認の訴えを提起した事案である。
あてはめ
父子間の法律上の親子関係は、認知という創設的効力を有する行為によって初めて発生するものである。本件において、上告人は認知を得ておらず、法律上の親子関係が形成されていない。そのため、現に存在する法律関係を確定するものである確認の訴えの対象を欠いているといえる。
結論
嫡出でない子は、認知によらないで父との間の親子関係存在確認の訴えを提起することはできない。したがって、本件訴えは不適法として棄却(却下)されるべきである。
実務上の射程
認知が創設的効力を有することを前提に、確認の訴えによる脱法的な親子関係形成を認めない趣旨である。実務上、任意認知がない場合はまず認知の訴え(民法787条)を提起すべきであり、本判例の理論は、母子関係が分娩の事実により当然発生するのと対照的な、父子関係特有の規律として答案上も重要である。
事件番号: 昭和35(オ)1189 / 裁判年月日: 昭和37年4月27日 / 結論: 棄却
母と非嫡出子間の親子関係は、原則として、母の認知をまたず、分娩の事実により当然発生する。
事件番号: 平成24(受)1402 / 裁判年月日: 平成26年7月17日 / 結論: 破棄自判
夫と民法772条により嫡出の推定を受ける子との間に生物学上の父子関係が認められないことが科学的証拠により明らかであり,かつ,夫と妻が既に離婚して別居し,子が親権者である妻の下で監護されているという事情があっても,親子関係不存在確認の訴えをもって父子関係の存否を争うことはできない。 (補足意見及び反対意見がある。)
事件番号: 平成8(オ)380 / 裁判年月日: 平成12年3月14日 / 結論: 破棄自判
夫と妻との婚姻関係が終了してその家庭が崩壊しているとの事情が存在することの一事をもって、夫が、民法七七二条により嫡出の推定を受ける子に対して、親子関係不存在確認の訴えを提起することは許されない。