農業共済組合の区域内に住所を有する水稲等の耕作の業務を営む者でその業務の規模が一定の基準に達するものは当該組合の組合員となり当該組合との間で農作物共済の共済関係が当然に成立する旨を定める農業災害補償法(平成11年法律第69号による改正前のもの)15条1項,16条1項,104条1項,農業災害補償法(平成11年法律第160号による改正前のもの)19条の規定は,憲法22条1項に違反しない。
水稲等の耕作の業務を営む者について農業共済組合への当然加入制を定める農業災害補償法(平成11年法律第69号による改正前のもの)15条1項,16条1項,104条1項,農業災害補償法(平成11年法律第160号による改正前のもの)19条と憲法22条1項
憲法22条1項,農業災害補償法(平成11年法律第69号による改正前のもの)15条1項,農業災害補償法(平成11年法律第69号による改正前のもの)16条1項,農業災害補償法(平成11年法律第69号による改正前のもの)104条1項,農業災害補償法(平成11年法律第160号による改正前のもの)19条
判旨
農業災害補償法が定める水稲耕作農家の「当然加入制」は、米の安定供給と農家経営の保護という重要な公共の利益を目的とするものであり、立法府の裁量の範囲を逸脱する著しく不合理な規制とはいえず、憲法22条1項に違反しない。
問題の所在(論点)
農業災害補償法における水稲耕作農家の「当然加入制」という、職業活動に付随する義務を課す規制が、憲法22条1項(職業の自由)に違反しないか。
規範
職業の自由(憲法22条1項)に対する制限が、公共の福祉に合致する目的のために必要かつ合理的な範囲にとどまる措置といえるか否かは、立法府の政策的・技術的な裁量を尊重し、その制限が著しく不合理であることが明白であるといえない限り、合憲と解される。
重要事実
事件番号: 昭和30(オ)478 / 裁判年月日: 昭和33年2月12日 / 結論: 棄却
一定の住民を国民健康保険に強制加入させ保険料は世帯主の町民税賦課等級に応じて納付させることにした町条例は、憲法第一九条に関係なく、憲法上の自由権および憲法第二九条第一項所定の財産権を侵害するものとはいえない。
水稲耕作を営む上告人は、農業災害補償法に基づき農業共済組合(被上告人)に当然に加入し共済関係が成立するとされたが、平成9年から11年産の共済掛金等を滞納した。被上告人が滞納処分として上告人の預金債権を差し押さえたため、上告人は、組合への加入を強制する「当然加入制」は憲法22条1項に違反し無効であると主張して差押えの無効確認等を求めた。
あてはめ
当然加入制の目的は、米の生産確保と農家経営の安定であり、保険類似の手法で危険を分散させる点に合理性がある。食糧管理法の廃止等の社会経済的状況の変化後も、米が主食として重要であることや自然災害の影響を受けやすい事実に変わりはなく、自助に委ねるべき状態とはいえない。また、国庫負担による掛金軽減や再保険制度による支払確保もなされており、職業遂行自体を禁止するものでもない。したがって、本制度は公共の利益に資する重要かつ合理的な措置であり、立法府の裁量を逸脱するほど著しく不合理とは認められない。
結論
農業災害補償法の定める当然加入制は、憲法22条1項に違反せず合憲である。
実務上の射程
職業の自由のうち「職業活動の内容・態様」に対する規制(消極的制限・積極的制限の区分が困難な社会政策的規制)について、立法府の広範な裁量を認め、明白性の基準に近い緩やかな審査を行う枠組みとして参照される。農業等の公益性の高い分野における強制加入制度の合憲性を基礎づける射程を持つ。
事件番号: 昭和29(オ)122 / 裁判年月日: 昭和31年4月24日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】国税滞納処分による差押えにおいても民法177条の適用があり、国が「第三者」に該当しないというためには、単に滞納処分の過程で事情を知っていただけでは足りず、納税者の信頼を強く裏切るような「特段の事情」が必要である。 第1 事案の概要:国(上告人)が滞納処分として不動産を差し押さえた際、当該不動産は登…
事件番号: 昭和32(オ)577 / 裁判年月日: 昭和36年1月25日 / 結論: 棄却
一 昭和二五年政令第二八八号第二条第一項本文かつこ内の規定が、自作農創設特別措置法によつて売渡を受けた農地等を自ら耕作することをやめた場合等について、農業に精進する見込のある者がない場合に、その農地を政府に譲渡せしめることにしているのは憲法第二九条第三項に違反しない。 二 昭和二五年政令第二八八号施行令第一四条で定める…
事件番号: 昭和28(オ)1266 / 裁判年月日: 昭和33年4月30日 / 結論: 棄却
農地所有権の移転後、移転登記未経由の間に登記簿上の所有名義人を所有者としてなされた農地買収処分は、当然無効と解すべきではない
事件番号: 昭和28(オ)608 / 裁判年月日: 昭和30年4月26日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】真実の所有者でない者を対象とした農地買収処分は、違法ではあるが当然無効とはならない。真実の所有者が処分を知り得たのに不服申立期間を徒過した場合は、もはや訴訟でその違法を主張することは許されない。 第1 事案の概要:本件農地は、贈与により真実の所有者となった被上告人が占有・管理していたが、未登記のた…