一定の住民を国民健康保険に強制加入させ保険料は世帯主の町民税賦課等級に応じて納付させることにした町条例は、憲法第一九条に関係なく、憲法上の自由権および憲法第二九条第一項所定の財産権を侵害するものとはいえない。
一定の住民を国民健康保険に強制加入させ、保険料を町民税の賦課等級に応じて納付させることにした町条例の憲法適否
国民健康保険法8条の13,国民健康保険法8条の14,国民健康保険法8条の15,小城町国民健康保険条例5条,小城町国民健康保険条例32条,憲法19条,憲法29条
判旨
国民健康保険における住民の強制加入及び保険料の徴収は、相扶共済による公共の福祉の実現を目的とするものであり、憲法29条1項の財産権等を侵害するものではない。
問題の所在(論点)
国民健康保険条例に基づく住民の強制加入(5条)および保険料の徴収(31条)が、憲法29条1項の財産権や憲法上の自由権を侵害し、違憲・無効となるか。
規範
社会保障制度における強制加入および費用負担の合理性は、その制度が相扶共済の精神に基づき、国民の健康保持・増進および生活の安定を図るという「公共の福祉」を目的としているか、およびその目的達成のために加入範囲や負担方法が不当に限定・差別されていないかによって判断される。
重要事実
B町(上告人居住地)は、昭和23年の国民健康保険法改正に伴い、町議会の全員一致の議決を経て国民健康保険条例を制定した。同条例5条は、町内の世帯主および世帯員を原則として被保険者とする「強制加入制」を採用し、同31条は世帯主に対し町民税の賦課等級に応じた「保険料」の納付義務を課した。上告人は、これらが憲法19条(思想の自由)、29条1項(財産権)等に違反し無効であると主張して争った。
事件番号: 平成16(行ツ)178 / 裁判年月日: 平成17年4月26日 / 結論: 棄却
農業共済組合の区域内に住所を有する水稲等の耕作の業務を営む者でその業務の規模が一定の基準に達するものは当該組合の組合員となり当該組合との間で農作物共済の共済関係が当然に成立する旨を定める農業災害補償法(平成11年法律第69号による改正前のもの)15条1項,16条1項,104条1項,農業災害補償法(平成11年法律第160…
あてはめ
国民健康保険は、疾病・負傷等に関し相扶共済の精神で保険給付を行い、公共の福祉に資することを目的とする。この目的達成には被保険者を可能な限り広範にすることが当然であり、損害を加入者相互で分担する性質上、強制加入はやむを得ない。また、保険料の徴収についても、支払能力のある世帯主に対し、町民税の等級という客観的指標に基づいて義務を課しており、公共の福祉に資する合理的な制限といえる。したがって、これらは財産権の不当な侵害にはあたらない。なお、思想の自由等の他の自由権についても、制度の性質上何ら抵触するものではない。
結論
本件条例の強制加入および保険料徴収の規定は、憲法19条、29条1項、98条等に違反せず、有効である。
実務上の射程
社会保障法制における強制加入制と費用徴収の合憲性を肯定したリーディングケース。答案では、社会保障制度が公共の福祉目的(憲法25条等の趣旨)に基づくものである限り、個人の財産権(29条)や契約の自由(13条等)に対する合理的制限として許容されやすいことを示す論拠として活用する。
事件番号: 昭和33(オ)738 / 裁判年月日: 昭和35年11月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】国税徴収法上の公売処分において、見積価額を記載した封書を公売場所に置くべき手続規定に違反があったとしても、その違法は公売処分を当然に無効とする程度の瑕疵とはいえない。 第1 事案の概要:税務署長が行った建物の公売処分において、見積価額が69万9000円と査定されていた。しかし、当時の施行規則23条…
事件番号: 昭和38(オ)1308 / 裁判年月日: 昭和40年7月16日 / 結論: 棄却
農地の譲渡について農地調整法による知事の認可のあつたことは、自作農創設特別措置法第六条の二によつて右農地に対する遡及買収をすることを妨げるものではない。