1 土地開発公社が個人から買収した土地の買収価格に関する情報は,公有地の拡大の推進に関する法律(平成16年法律第66号による改正前のもの)7条の適用により,同価格が地価公示法(平成11年法律第160号による改正前のもの)6条の規定による公示価格を規準として算定されたなど判示の事実関係の下においては,旧奈良県情報公開条例(平成8年奈良県条例第28号。平成13年奈良県条例第38号による全部改正前のもの)10条2号イの「公表することを目的として実施機関が作成し,又は取得した情報」に当たり,同号所定の非開示情報に当たらない。 2 土地開発公社が土地を買収した際に個人に対して支払った建物,工作物,動産,植栽等に係る補償金の額に関する情報は,建物の内部の構造,使用資材,施工態様,損耗の状況等の詳細及び上記個人がどのような工作物,動産,植栽等を有するかが一般人に明らかになっているものではないなど判示の事情の下においては,旧奈良県情報公開条例(平成8年奈良県条例第28号。平成13年奈良県条例第38号による全部改正前のもの)10条2号所定の非開示情報に当たる。
1 土地開発公社が個人から買収した土地の買収価格に関する情報が旧奈良県情報公開条例(平成8年奈良県条例第28号。平成13年奈良県条例第38号による全部改正前のもの)10条2号所定の非開示情報に当たらないとされた事例 2 土地開発公社が土地を買収した際に個人に対して支払った建物,工作物,動産,植栽等に係る補償金の額に関する情報が旧奈良県情報公開条例(平成8年奈良県条例第28号。平成13年奈良県条例第38号による全部改正前のもの)10条2号所定の非開示情報に当たるとされた事例
(1,2につき)旧奈良県情報公開条例(平成8年奈良県条例第28号。平成13年奈良県条例第38号による全部改正前のもの)10条2号 (1につき)公有地の拡大の推進に関する法律(平成16年法律第66号による改正前のもの)7条,地価公示法(平成11年法律第160号による改正前のもの)2条1項,地価公示法(平成11年法律第160号による改正前のもの)6条,地価公示法2条2項
判旨
情報公開条例上の「特定の個人が識別される情報」であっても、不動産登記簿等により何人でも閲覧可能な情報や、客観的性状から公表が予定されている情報は非開示情報に当たらないが、公示されない補償対象物や補償価格の詳細は非開示情報に当たると判断した。
問題の所在(論点)
情報公開条例における非開示事由としての(1)「個人を識別し得る情報」の例外(閲覧可能・公表目的)、(2)「法人等の正当な利益」を害する情報、(3)「意思形成過程・事務執行」への支障、の各該否が問題となった。
規範
事件番号: 平成15(行ヒ)250 / 裁判年月日: 平成17年7月15日 / 結論: その他
1 土地開発公社が個人から買収した土地の買収価格に関する情報は,公有地の拡大推進に関する法律(平成16年法律第66号による改正前のもの)7条の適用により,同価格が地価公示法(平成11年法律第160号による改正前のもの)6条の規定による公示価格を規準として算定されたという事実関係の下においては,名古屋市公文書公開条例(昭…
1. 個人の識別情報であっても、「法令等の規定により何人でも閲覧することができる情報」に当たる場合は開示対象となる。また、「公表することを目的として作成・取得した情報」には、公表することがもともと予定されている情報も含まれる。 2. 予定されている情報とは、客観的性状から推認し得る一定の範囲内の価格であって、一般人におおよその見当がつくものをいう。 3. 法人等の情報については、開示によりその競争上の地位、社会的信用その他正当な利益が損なわれると認められる場合に非開示となる。
重要事実
住民が奈良県に対し、県土地開発公社が先行取得した土地の買収等に関する文書の開示を求めた。県は、地権者の氏名・住所、土地の買収価格、建物・工作物等の補償内容、および積算根拠資料を、個人識別情報や事務事業の支障を理由に非開示とした。対象土地の売買価格は公拡法に基づき公示価格等を規準に算定され、土地の取得自体は不動産登記簿に記載されるものであった。一方で、建物内部の構造や動産、植栽の詳細、および補償価格の積算過程は通常公示されないものであった。
あてはめ
1. 個人地権者の住所氏名、土地の所在、面積等は不動産登記簿で公示されており、「何人でも閲覧可能な情報」に当たる(非開示除外)。 2. 土地買収価格は、公示価格や近傍取引価格から客観的に推認可能であり、「公表が予定されている情報」に当たる(非開示除外)。 3. 工作物、動産、植栽等の種類・数量および補償価格は、公示されず外部からの観察も困難であり、一般人が見当をつけられるものではないため、公表が予定されているとはいえず、非開示情報に当たる。 4. 法人の買収価格等の開示は、適正価格による取引である以上、直ちに社会的信用や正当な利益を害するとはいえない。 5. 価格決定の積算根拠資料は、開示により将来の適正な買収価格決定に著しい支障が生ずるおそれがあるため、非開示情報に当たる。
結論
個人地権者の住所氏名、土地の所在・面積・買収価格、法人の各情報は開示。個人地権者の補償対象物(工作物・動産等)の詳細、その補償価格、および積算根拠資料は非開示とする。
実務上の射程
プライバシー保護と開示の調和において「登記簿等の公的公示制度」や「客観的予測可能性」を基準とした点に射程がある。行政の価格決定プロセスそのものは、将来の交渉への影響を理由に非開示とされる傾向(事務事業支障)を維持している。
事件番号: 平成10(行ツ)167 / 裁判年月日: 平成15年11月11日 / 結論: 棄却
1 千葉県の職員の旅行命令票に記録された職員の給料表の種類並びに職務の級及び号給に関する情報は,千葉県公文書公開条例(昭和63年千葉県条例第3号)11条2号にいう「個人に関する情報」に当たる。 2 千葉県の職員の旅行命令票に千葉県公文書公開条例(昭和63年千葉県条例第3号)11条2号の非公開情報に当たる情報とこれに当た…
事件番号: 平成10(行ヒ)54 / 裁判年月日: 平成15年11月11日 / 結論: その他
1 法人その他の団体(国及び地方公共団体を除く。)の代表者に準ずる地位にある者以外の従業員の職務の遂行に関する情報は,その者の権限に基づく当該法人等のための契約の締結等に関する情報を除き,大阪市公文書公開条例(昭和63年大阪市条例第11号)6条2号にいう「個人に関する情報」に当たる。 2 法人その他の団体(国及び地方公…
事件番号: 平成13(行ヒ)348 / 裁判年月日: 平成17年7月14日 / 結論: その他
北九州市の局長の交際費の支出に関する情報で交際の相手方が識別されるものは,交際の相手方及びその内容が不特定の者に知られ得る状態でされる交際に関するものなどを除き,旧北九州市情報公開条例(平成元年北九州市条例第22号。平成13年北九州市条例第42号による全部改正前のもの)6条7号所定の非公開情報に該当する。(反対意見があ…
事件番号: 平成11(行ヒ)145 / 裁判年月日: 平成15年11月21日 / 結論: その他
1 法人その他の団体(国及び地方公共団体を除く。)を代表する者又はこれに準ずる地位にある者がその職務として行う行為等当該法人等の行為そのものと評価される行為に関する情報は,旧新潟県情報公開条例(平成7年新潟県条例第1号。平成10年新潟県条例第40号による改正前のもの)10条2号にいう「個人に関する情報」に当たらない。 …