1 土地開発公社が個人から買収した土地の買収価格に関する情報は,公有地の拡大推進に関する法律(平成16年法律第66号による改正前のもの)7条の適用により,同価格が地価公示法(平成11年法律第160号による改正前のもの)6条の規定による公示価格を規準として算定されたという事実関係の下においては,名古屋市公文書公開条例(昭和61年名古屋市第29号)9条1項1号にいう個人の所得又は財産に関する情報であって「通常他人に知られたくないと認められるもの」に当たらない。 2 土地開発公社が土地を買収した際に個人に対して支払った建物,工作物,立木,動産等に係る補償金の額に関する情報は,建物の内部の構造,使用資材,施工態様,損耗の状況等の詳細及び上記個人がどのような工作物,立木,動産等を有するかが外部に明らかになっているものではないなど判示の事情の下においては,名古屋市公文書公開条例(昭和61年名古屋市条例第29号)9条1項1号にいう個人の所得又は財産に関する情報であって「通常他人に知られたくないと認められるもの」に当たる。
1 土地開発公社が個人から買収した土地の買収価格に関する情報が名古屋市公文書公開条例(昭和61年名古屋市条例第29号)9条1項1号にいう個人の所得又は財産に関する情報であって「通常他人に知られたくないと認められるもの」に当たらないとされた事例 2 土地開発公社が土地を買収した際に個人に対して支払った建物,工作物,立木,動産等に係る補償金の額に関する情報が名古屋市公文書公開条例(昭和61年名古屋市条例第29号)9条1項1号にいう個人の所得又は財産に関する情報であって「通常他人に知られたくないと認められるもの」に当たるとされた事例
名古屋市公文書公開条例(昭和61年名古屋市条例第29号)9条1項1号 公有地の拡大の推進に関する法律(平成16年法律第66号による改正前のもの)7条 地価公示法(平成11年法律第160号による改正前のもの)2条1項,地価公示法(平成11年法律第160号による改正前のもの)6条 地価公示法2条2項
判旨
公的機関が個人から土地を取得した際の「土地取得価格」は、客観的価値に基づき推測可能で公示性も高いため非公開情報に当たらないが、「建物等の補償金額」は個人の所有物の詳細を反映し外部から推認困難であるため、非公開情報に該当する。
問題の所在(論点)
個人が識別される状態で記録された「土地取得価格」および「補償金額」は、条例9条1項1号にいう「通常他人に知られたくないと認められる情報(非公開情報)」に該当するか。
規範
情報公開条例における「個人に関する情報であって通常他人に知られたくないと認められるもの(非公開情報)」とは、私事に関する情報のうち、その性質上公開に親しまないような個人情報を指す。具体的には、①情報の公示性の有無、②第三者による客観的な推認の可否、③個人の主観的秘匿の合理性を総合して判断する。
事件番号: 平成15(行ヒ)295 / 裁判年月日: 平成17年10月11日 / 結論: その他
1 土地開発公社が個人から買収した土地の買収価格に関する情報は,公有地の拡大の推進に関する法律(平成16年法律第66号による改正前のもの)7条の適用により,同価格が地価公示法(平成11年法律第160号による改正前のもの)6条の規定による公示価格を規準として算定されたなど判示の事実関係の下においては,旧奈良県情報公開条例…
重要事実
名古屋市土地開発公社が市への譲渡を前提に個人から取得した土地の一覧表につき、住民が公開を請求した。市は、個人が特定され得る「土地取得価格(2の情報)」および「建物・工作物・動産等の補償金額(1の情報)」を、名古屋市公文書公開条例9条1項1号の非公開情報(個人の所得・財産等に関する情報)に該当するとして非公開決定を行った。
あてはめ
1. 土地取得価格について:当該価格は公示価格を規準に算定され、駅からの距離や形状等の価格要因は周知または調査容易な事項であるため、一般人でも客観的な価格の見当がつく。また、買収事実は不動産登記簿で公示される。よって、私事性が強くなく、非公開情報には当たらない。 2. 補償金額について:建物内部の構造、工作物や庭木、動産の内容は公示されず、外部から容易に明らかにならない。算定方式が適正であっても、金額から個人の所有物の詳細が推認されるため、他人に知られたくないと望むことには正当な理由がある。よって、非公開情報に該当する。
結論
土地取得価格の非公開決定は違法であるが、建物等の補償金額を非公開とした決定は適法である。
実務上の射程
プライバシー権と知る権利の調整において、情報の「客観的推認可能性」と「公示性」をメルクマールとした。答案上は、当該情報が外形的・客観的データに基づくものか、それとも個人の私的生活の詳細を露呈させるものかを区別してあてはめる際に有用である。
事件番号: 平成10(行ツ)167 / 裁判年月日: 平成15年11月11日 / 結論: 棄却
1 千葉県の職員の旅行命令票に記録された職員の給料表の種類並びに職務の級及び号給に関する情報は,千葉県公文書公開条例(昭和63年千葉県条例第3号)11条2号にいう「個人に関する情報」に当たる。 2 千葉県の職員の旅行命令票に千葉県公文書公開条例(昭和63年千葉県条例第3号)11条2号の非公開情報に当たる情報とこれに当た…
事件番号: 平成13(行ヒ)348 / 裁判年月日: 平成17年7月14日 / 結論: その他
北九州市の局長の交際費の支出に関する情報で交際の相手方が識別されるものは,交際の相手方及びその内容が不特定の者に知られ得る状態でされる交際に関するものなどを除き,旧北九州市情報公開条例(平成元年北九州市条例第22号。平成13年北九州市条例第42号による全部改正前のもの)6条7号所定の非公開情報に該当する。(反対意見があ…
事件番号: 平成16(行ヒ)117 / 裁判年月日: 平成18年7月13日 / 結論: その他
府が個人から取得した事業用地の取得価格,府の土地開発公社が個人から取得し又は個人に譲渡した事業用地の代替地の取得価格及び譲渡価格並びに上記公社の土地評価審査会が上記代替地の評価額を答申した際の評価答申額等に関する情報は,(1)府における事業用地の取得価格は,地価公示法(平成11年法律第160号による改正前のもの)6条の…
事件番号: 平成10(行ヒ)54 / 裁判年月日: 平成15年11月11日 / 結論: その他
1 法人その他の団体(国及び地方公共団体を除く。)の代表者に準ずる地位にある者以外の従業員の職務の遂行に関する情報は,その者の権限に基づく当該法人等のための契約の締結等に関する情報を除き,大阪市公文書公開条例(昭和63年大阪市条例第11号)6条2号にいう「個人に関する情報」に当たる。 2 法人その他の団体(国及び地方公…