支払保証委託契約を締結する方法により強制執行停止の担保を立てた場合において,委託者が同契約締結の際にした定期預金の払戻請求権に対して転付命令を得た同契約の当事者以外の第三者は,当該担保の取消しの申立てをすることができない。
支払保証委託契約を締結する方法により強制執行停止の担保を立てた場合において同契約締結の際にされた定期預金の払戻請求権に対して転付命令を得た同契約の当事者以外の第三者が担保の取消しの申立てをすることの許否
民訴法76条,民訴法79条,民訴法398条1項,民訴法400条2項,民訴規則29条,民事執行法159条
判旨
仮執行停止の担保として支払保証委託契約を締結し、その裏付けとして定期預金をした場合、当該預金債権を転付命令により取得した第三者は、当該担保の取消しを申し立てることはできない。
問題の所在(論点)
支払保証委託契約(ボンド)の裏付けとなる預金債権を転付命令によって取得した第三者は、民事訴訟法上の担保取消しの申立てを行うことができるか。
規範
民事訴訟法上の担保取消しの申立て(民訴法79条)を行うことができるのは、原則として担保提供者に限られる。担保提供者が担保の裏付けとして銀行等と支払保証委託契約を締結し、かつ資金を預託している場合において、その預託金債権を承継したに過ぎない第三者は、担保提供者の地位そのものを承継したとはいえず、担保取消しの申立権を有しない。
重要事実
1. 被告(債務者)は、仮執行宣言付判決の執行停止を得るため、一定額を限度とする支払保証委託契約による担保提供を命じられた。2. 被告は金融機関と当該契約を締結し、同額の定期預金を預託した。3. 第三者(抗告人)が、この定期預金払戻請求権につき転付命令を得て取得した。4. 第三者は、担保の事由が消滅したとして、裁判所に対し担保取消しの申立てを行った。
事件番号: 平成24(許)15 / 裁判年月日: 平成25年4月26日 / 結論: 破棄自判
1 仮執行宣言付判決に対する上訴に伴い,金銭を供託する方法により担保を立てさせて強制執行の停止がされた後に,債務者につき更生手続開始の決定がされた場合,その被担保債権である損害賠償請求権は,更生担保権ではなく,更生債権に当たる。 2 仮執行宣言付判決に対する上訴に伴う強制執行の停止に当たって金銭を供託する方法により担保…
あてはめ
1. 本件における担保提供の実体は、被告と金融機関との間の支払保証委託契約に基づくものである。2. 第三者が取得したのは、あくまで被告が金融機関に対して有していた「定期預金払戻請求権」という個別の債権であり、転付命令によって被告の訴訟法上の地位(担保提供者としての地位)まで承継されるものではない。3. したがって、担保の事由が消滅したとしても、当該債権の譲受人に過ぎない第三者が自ら担保取消しを申し立てる法的根拠は認められない。
結論
定期預金債権の転付受領者は、担保提供者の地位を承継しないため、担保取消しの申立てをすることはできない。
実務上の射程
担保取消権の帰属に関する判断。実務上、支払保証委託契約による担保提供(民訴規則15条)がなされた場合、その裏付け資産を差し押さえた債権者は、自ら担保取消しを行うことができないため、代位行使等の別の手続きを検討する必要があることを示唆する。
事件番号: 平成14(許)1 / 裁判年月日: 平成14年4月26日 / 結論: 破棄自判
仮執行宣言付判決に対する上訴に伴う強制執行の停止のために担保が立てられた場合において,債務者が破産宣告を受けたことの一事をもって,「担保の事由が消滅したこと」に該当するということはできない。
事件番号: 平成13(許)21 / 裁判年月日: 平成13年12月13日 / 結論: 棄却
仮執行宣言付判決に対する上訴に伴い担保を立てさせて強制執行の停止又は既にした執行処分の取消しがされた場合において,債務者が破産宣告を受けたことの一事をもって,「担保の事由が消滅したこと」に該当するということはできない。
事件番号: 昭和24(ク)41 / 裁判年月日: 昭和24年7月15日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、訴訟法上特に最高裁判所への申し立てが許容されている場合を除き、提起することができない。 第1 事案の概要:抗告人が最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案。本件において、抗告人は当時の民事訴訟法419条の2(民訴応急措置法7条)などの特別の規定に基づかずに、最高裁判所への抗…
事件番号: 昭和37(ク)169 / 裁判年月日: 昭和37年6月28日 / 結論: 棄却
高等裁判所の決定について違憲を理由とする場合以外に抗告の途がないことは、憲法に違反しない。(昭和二四年(ク)第一五号、同年七月二二日大法廷決定参照)