遺言執行者が推定相続人の廃除を求める審判手続において,廃除を求められていない推定相続人が利害関係人として審判手続に参加した場合に,参加人は廃除の申立てを却下する審判に対して即時抗告をすることができない。
遺言執行者による推定相続人の廃除の申立てを却下する審判に対し他の推定相続人である参加人が即時抗告をすることの許否
民法893条,家事審判法14条,家事審判規則14条,家事審判規則27条2項,家事審判規則100条2項
判旨
遺言執行者が推定相続人の廃除を求める審判手続において、廃除を求められていない他の推定相続人は、利害関係人として審判手続に参加したとしても、廃除の申立てを却下する審判に対して即時抗告をすることはできない。
問題の所在(論点)
遺言執行者が推定相続人の廃除を求める審判手続において、利害関係人として参加した「廃除を求められていない推定相続人」は、廃除申立てを却下した審判に対して即時抗告をすることができるか。
規範
家事審判手続における即時抗告の可否は、手続上の当事者適格や法律上の利益の有無により判断される。推定相続人の廃除審判手続(家事審判規則100条2項、27条2項参照)において、廃除の対象となっていない他の推定相続人は、当該審判の結果によって相続分が増減するなどの経済的利害関係を有する場合であっても、独立して即時抗告を申し立てるべき法律上の地位にはない。
重要事実
遺言執行者が、ある推定相続人の廃除を求めて審判を申し立てた。この手続において、廃除を求められていない別の推定相続人が利害関係人として審判手続に参加した。家庭裁判所が廃除の申立てを却下する審判を下したところ、この参加人が不服として即時抗告を申し立てた事案である。
事件番号: 昭和54(ク)149 / 裁判年月日: 昭和55年7月10日 / 結論: 棄却
民法八九二条の推定相続人廃除の規定は、被相続人に対し実体法の相続人廃除権ないし廃除請求権を付与したものではなく、右推定相続人廃除請求の手続は、非訟事件たる性質を有する。
あてはめ
家事審判規則等の規定に照らせば、廃除の審判は遺言者の意思を尊重し、特定の相続人の相続権を剥奪するか否かを判断する手続である。参加人である他の推定相続人は、申立てが却下されることで自己の相続分が拡大しないという不利益を被るに過ぎず、これは反射的な利益に留まる。したがって、廃除の申立てを却下する審判により直接的に権利を侵害された者とはいえず、即時抗告を提起する資格を欠く。
結論
廃除を求められていない推定相続人による即時抗告は、不適法なものとして却下される。
実務上の射程
遺言執行者による廃除申立てにおける、他の相続人の訴訟法的地位を明確にした判例である。相続法上の論点というよりは、家事事件手続法(旧規則)上の「抗告権者」の範囲を限定的に解釈する際の実務上の指標となる。
事件番号: 昭和57(ク)329 / 裁判年月日: 昭和59年3月22日 / 結論: 棄却
家事審判法九条一項乙類九号の推定相続人廃除に関する審判は、憲法八二条、三一条に違反しない。
事件番号: 昭和32(マ)8 / 裁判年月日: 昭和32年5月1日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所のなした決定に対して異議を申し立てることは許されない。また、準再審の申し立てであっても、再審事由に該当しないことが明らかな場合は不適法として却下される。 第1 事案の概要:申立人は、最高裁判所が既になした決定に対して異議を申し立てた。当該申立ては形式的には「異議の申立て」とされていたが、…
事件番号: 平成13(行フ)1 / 裁判年月日: 平成14年2月12日 / 結論: 棄却
行政事件訴訟法22条1項の規定により第三者を訴訟に参加させる決定に対して即時抗告をすることは許されない。
事件番号: 平成11(許)36 / 裁判年月日: 平成12年12月14日 / 結論: 却下
文書提出命令の申立てについての決定に対しては、文書の提出を命じられた所持者及び申立てを却下された申立人以外の者は抗告の利益を有しない。